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Z世代を動かすマネジメント術|共感と納得で成果を引き出す方法

「Z世代社員とどう接すればいいかわからない」「指示を出しても動かない」「すぐ辞めてしまう」そんな声が多く聞かれる今。Z世代を理解し、彼らの強みを活かすマネジメントが求められています。
この記事では、Z世代の特徴からマネジメントのコツ、実践例まで詳しく解説します。Z世代のマネジメント力を上げるおすすめの研修についてもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

1.Z世代とは?

Z世代を動かすマネジメント術

Z世代とは、1990年代後半〜2010年前後に生まれ、2025年現在16〜30歳前後の世代を指します。
インターネットやSNSとともに成長した“デジタルネイティブ”であることが最大の特徴です。

1965〜1979年生まれの「X世代」、1980〜1994年生まれの「Y世代」に続く世代として「Z世代」と呼ばれています。

 

Z世代は情報収集や意思決定のスピードが速く、SNSを通じて常に多様な価値観に触れているため、文化や個性、マイノリティに対しても寛容です。また「個性が大切」「個性が武器になる」という価値観の中で育った世代でもあります。

一方で、不況や社会不安を経験してきたことから、安定志向・安心志向が強い傾向も見られます。

実際に、2026年卒業予定の大学生を対象とした「なりたい職業調査」では、地方公務員や国家公務員が上位を占めており、リスクを避ける傾向がうかがえます。

2.仕事におけるZ世代の価値観と特徴

Z世代を動かすマネジメント術

まずは、Z世代がどんな価値観や働き方の特徴を持つのかを理解しましょう。この前提理解があるかどうかで、マネジメントの成否が大きく変わります。

理由・目的を重視する

Z世代は「理由」「目的」がないと行動しにくい傾向にあります。

学校教育や社会全体が「自分で考える力」を重視する方向に変わる中で育ってきたことから、「指示待ち」ではなく「納得して行動する」ことが当然になっているためです。また、インターネットの使用が当たり前の情報過多の時代に育ち、「何を信じるべきか」を自分で判断する力が求められてきたことも影響しています。

幼い頃から行動の前に納得できる理由を求められてきた世代だからこそ、「なぜやるのか」が分からない状態では重い腰が上がりません。Z世代のマネジメントにおいてはWhyの共有が重要なポイントとなります。

多様性・個性を尊重し、フラットな関係を好む

SNS文化の中で育ってきたZ世代の中では「みんな違ってみんないい」というのが常識です。

Z世代はネット上のコミュニティで年齢や肩書きに関係なく自由に意見を交わしてきた世代です。SNSでは年齢や肩書きはあまり重要視されませんよね。どんな人ともフラットな関係で、「誰が言うか」より「何を言うか」を重視する傾向にあります。

また、社会全体で多様性(ダイバーシティ)が推進される中、他者との違いを尊重することが当たり前の価値観になっています。そのため、威圧的・上下関係重視のマネジメントには馴染みにくいのが特徴です。

ワークライフバランス志向が強い

Z世代はワークライフバランスを大切にしています。

長時間労働や過労死など働きすぎのリスクをニュースで見て育ち、人生を犠牲にしてまで働くことに疑問を感じているためです。また、幼い頃からSNSを通じて人生を楽しむ大人像にも触れており、「人生は仕事だけじゃない」というのが常識になっていることも理由の一つと言えるでしょう。

Z世代は仕事だけでなくプライベートも大切にする生き方を望む傾向が強く、効率よく成果を出して余暇を楽しむことを理想とする傾向が強いです。

共感できる理念を大切にする

Z世代は共感できるかどうかで価値を判断する傾向にあります。

単に利益を追う企業より、社会に良い影響を与えている企業に共感しやすいのもZ世代の特徴です。環境問題・ジェンダー平等・社会正義などが叫ばれた時代に育ち、社会問題に敏感な世代だからです。

Z世代は仕事でも「共感できる目的」=「働く意味」として重視しています。SNSでは正しさではなく共感できるかが価値の判断基準です。「いいね」を集めるのは正しい投稿ではなく共感を集める投稿ですよね。共感できない人とは距離を置くのがZ世代の「普通」なのです。

「会社のため」より「自分の成長・納得」を重視

キャリアアップに積極的なのもZ世代の特徴です。

リストラや終身雇用の崩壊などを親世代を通じて見てきたZ世代は「会社に尽くしても安泰ではない」と肌で感じています。そのため、転職や副業などキャリアアップに積極的です。

Z世代は「自分の市場価値を高める」「自分が納得できる選択をする」ことを大切にしています。企業への忠誠心より自己成長と納得感を軸に働くスタイルが定着しているのです。

3.なぜZ世代マネジメントは難しいのか?

Z世代を動かすマネジメント術

Z世代と上の世代では、育った時代背景や価値観、働く目的が大きく異なります。

「最近の若手は何を考えているのかわからない」と感じるのは、単なる世代差ではなく、社会構造の変化が生んだ意識のズレが原因と言えるでしょう。ここでは、その具体的なギャップと背景を整理します。

指示に従わない?——納得できる「意味づけ」が必要

・上の世代の価値観

「上司の指示に従うのが仕事」「経験者が正しい」という年功序列的な常識がベースです。これは成長期の日本における効率的かつ秩序を守る仕組みでした。

 

・Z世代の価値観

「なぜそれをやるのか」が分からないと行動できません。情報が多く、主体的に選び取る文化の中で育ったためです。

 

・なぜギャップが起きるのか?

上司は「従う前提」で話しますが、Z世代は「納得前提」で聞くためギャップが生まれます。同じ指示でも、意味づけの有無でZ世代の理解度と行動は変わるでしょう。

 

Z世代に行動してもらうためには、命令だけではなく「なぜこの仕事が必要なのか」をセットで伝える必要があるのです。

「仕事より自分の時間を大切にする」——働く目的が根本的に違う

・上の世代の前提

「仕事=人生」「会社に尽くすことが美徳」。経済が成長しており、努力すれば報われる時代背景がありました。

 

・Z世代の前提

「仕事はあくまで人生の一部」「自分らしく生きるための手段」。経済が成熟し、成果よりも生き方が評価される社会に育ってきたためです。

 

・なぜギャップが起きるのか?

上司は「仕事中心」で話しますが、Z世代は「人生中心」で考えています。 価値観の軸が違うため、モチベーションのスイッチが噛み合いません。

 

Z世代には「仕事を通じてどんな成長ができるか」「この経験がどう人生に役立つか」を伝えるようにしましょう。目的の共有がマネジメントの鍵です。

「すぐ辞める」「我慢が足りない」と感じる——成長機会の認識差

・上の世代の前提

「苦労や我慢の先に成長がある」「仕事は続けることが大事」。 昭和〜平成の終身雇用文化では、耐えることが信頼につながりました。

 

・Z世代の前提

「成長=効率的にスキルを身につけること」「無駄な我慢は時間の損失」。SNSや動画で最短ルートの学びが当たり前の世代です。動画を倍速で見るなどタイパ(タイムパフォーマンス)も重視しています。そのため成長実感がない職場にはすぐ見切りをつける傾向にあります。

 

・なぜギャップが起きるのか?

成長の定義が異なるためにギャップが生まれます。上司は「経験の積み重ね」で、Z世代は「スキルアップの速度」で成長を定義しています。

 

Z世代が成長を実感できるよう、こまめなフィードバック、評価・称賛が必要です。

コミュニケーションの取り方が違う——雑談より安心感

・上の世代の前提

「飲み会や雑談で関係を深める」「距離を縮めて信頼を作る」。「飲みニュケーション」と呼ばれる終業後のお酒の席で親睦を深めることや、家族ぐるみのお付き合いなども当たり前でした。

 

・Z世代の前提

「無理に仲良くしなくてもいい」「仕事の話がきちんとできる方が安心」。SNS世代は他人との距離感の取り方が非常に繊細で、プライベートに踏み込みすぎると不信感につながります。

 

・なぜギャップが起きるのか?

Z世代と上の世代とでは関係構築の方法が異なります。上司は親しみを込めたつもりでも、Z世代は距離を詰められすぎたと感じ敬遠されることも。

Z世代とのコミュニケーションにおいては、雑談よりも仕事の話に耳を傾ける姿勢が信頼を生むでしょう。

 

価値観の異なるZ世代のマネジメントは簡単ではないかもしれません。でも、「やる気がない」「根性がない」と捉える前に、 大切にしているものの基準が違うだけと理解することが第一歩です。 違いを知れば、指導ではなく共創の関係を築くことができるはずです。

4.Z世代に響くマネジメント方法|共感と納得が成長を促す

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Z世代には「押しつけるマネジメント」は通じません。彼らが動くのは、「共感できる目的」と「自分の成長実感」があるとき。ここでは、なぜそれが効果的なのかという理由とともに、現場で使えるマネジメントスタイルと実践法を紹介します。

共感と対話をベースにしたマネジメント

Z世代のマネジメントでまず大切なのは、命令ではなく共に考える姿勢を持つことです。

一方的な指示ではなく、自分の意見を尊重してもらえることに安心感を覚えるのがZ世代。対話によって信頼が生まれ、納得して行動できるようになります。

定期的な1on1ミーティングで感情面もヒアリングすることや、雑談ではなく思考のキャッチボールを意識して話すこと、「どう思う?」「やってみてどう感じた?」と質問ベースで関わることが効果的でしょう。ビジネスコミュニケーション研修で対話の仕方を学ぶのもおすすめです。

“Why型”の指示を徹底する

「何を」「どうやるか」だけでなく、「なぜそれをするのか」をセットで伝えることも非常に重要です。

Z世代は理由のない努力に納得しません。一方、目的が明確であれば自分の仕事の意味を理解し、主体的に動けるようになります。「自分がチームの役に立てている」と感じると動きが変わるでしょう。

Z世代のマネジメントにあたっては、「この仕事の目的は〇〇。あなたが担当することで△△の効果が出る」と理由・目的を明確にして伝えることが大切。Whyを伝えることで指示が命令から共感に変わるのです。背景情報を共有することは、判断力を育てることにもつながります。

個性に合わせた柔軟なマネジメント

Z世代には、画一的な教育ではなく個々の強みや価値観を踏まえたマネジメントを心がけましょう。

Z世代は「一人ひとり違っていい」という価値観が当たり前。全員に同じ指導を全員に行うと、「自分は理解されていない」と感じがちです。

例えば、得意・不得意をヒアリングして仕事を割り振る、選択肢を提示して自分で選べる余地を作る、成果よりも成長を評価する、などがZ世代のマネジメントに有効な手段となるでしょう。一人ひとりの能力に合わせたオーダーメイドの新入社員研修や若手研修を取り入れるのもおすすめです。

心理的安全性をつくる

Z世代のマネジメントを成功させるためには、「失敗しても大丈夫」と思える職場環境を整えることも大切です。

Z世代はSNS世代でもあり、評価されることに敏感になっています。叱責されるとすぐに「自分は否定された」と感じ、行動が止まる傾向があるので注意が必要です。

ミスを責めず、次にどうするかを話し合う姿勢を忘れてはいけません。上司自身が失敗談を共有するのもいいですね。挑戦を歓迎する風土をチームで作り上げていけば、Z世代も安心して力を発揮してくれるでしょう。

リアルタイムなフィードバックを重視

できたらすぐ褒める・修正するを習慣化することもZ世代のマネジメントのポイントです。

デジタルネイティブであるZ世代はスピード感のある反応に慣れているため、評価が遅れると「自分の努力は見られていない」と感じてしまいます。

Z世代にはSlackやチャットで即レス・即称賛をするのがおすすめ。定期評価ではなく週次フィードバックなど短期間での評価制度を導入するのも良いでしょう。小さな成功を積み上げて自信を育てていきたいですね。

上の世代に対してフィードバックのスキルを上げる研修を導入するのも効果的です。

デジタルツールを活用した報連相

報告・連絡・相談の手段として、Z世代が慣れたツールを活かすのもおすすめです。

テキストでのコミュニケーションに長けているZ世代はリアルの場では緊張して話せない場合も多くなっています。チャットやドキュメント共有のほうが意見を出しやすいかもしれません。

対面だけにこだわらず、SlackやTeamsなどのツールも活用していきましょう。コメント欄でリアクション・承認を可視化するのもいいですね。ツール活用は上下の壁をなくし、フラットな関係を築く効果も期待できます。

マネジャー自身の意識転換

マネジメントする側の意識を変えることも重要です。従来型の「教える立場」から「一緒に成長する伴走者」へと意識転換をしていきましょう。

Z世代は、尊敬できる人としての上司を求めており、支配する上司より支援する上司に信頼を寄せます。

「こうしなさい」という単なる命令ではなく、「どう思う?」と寄り添う姿勢を習慣化しましょう。学び直し(リスキリング)や管理職向け研修に上司自身が参加するのもおすすめ。「完璧な上司」ではなく「共に学ぶ上司」でいることで、Z世代の共感を得られるでしょう。

5.研修を活用してZ世代のマネジメント方法を掴もう

今回は、Z世代の特徴やマネジメントのポイント、実践のヒントをご紹介しました。

Z世代マネジメントの鍵は「理解」「対話」「支援」の3つです。

まずは、Z世代の価値観を理解し、共感をベースにしたコミュニケーションやタイムリーなフィードバックなど、身近なところから取り入れてみましょう。

小さな工夫の積み重ねが、職場の雰囲気やメンバーの意欲を大きく変えていきます。

 

セゾンパーソナルプラスでは、Z世代の育成やチームマネジメントに役立つ 管理職向け研修、人材育成指導研修、ビジネスコミュニケーション研修 など、目的に応じたプログラムをご用意しています。

Z世代を活かすマネジメントを実践したい方は、ぜひお気軽にご相談ください。

6.企業研修プログラム

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