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営業担当者の育成方法を徹底解説|「売れる」営業人材をどう育てるか

今、営業環境は大きく変わっています。営業担当者の「売れる力」を育てることが、会社の成長を左右する時代。にもかかわらず、なかなか育成がうまくいかないと悩む企業も少なくありません。本記事では、なぜ今「営業担当者の育成」が課題なのかを整理し、「売れる営業担当者」とはどんな人材かを定義したうえで、育成がうまくいかない原因から、実際に取るべき育成方法、さらに現場で使えるコツまで解説します。営業担当者育成におすすめの社員研修についても紹介していますので、成果を出す営業チームを自社で作りたい方はぜひご覧ください。

1.なぜ今「営業担当者の育成」が難しいのか

営業担当者の育成方法とは

営業を取り巻く環境が大きく変化し、従来の「経験で覚える営業」では通用しにくくなっています。育成がうまくいかない背景を理解することが、対策の第一歩です。

営業の難易度が上がっている理由

営業の難易度が上がっている原因の一つは、顧客の情報武装が進んでいることです。一人一台のスマホが当たり前になっている今、顧客が事前に製品やサービスの情報を得ることは難しくありません。そのため、商品の説明だけでは顧客の心を動かすことが難しいのです。

営業担当者には、顧客が集めた情報のギャップや誤解を説明したり、顧客自身も気づいていない課題を示したり、商品が顧客にどのような成果をもたらすかという視点で話したりなど、より深い対話力と提案力が求められるようになりました。

また、「対面+オンライン」というハイブリッドセールスが一般化してきていることも難しさの原因の一つです。オンラインでの画面共有・資料説明、チャットやメールでのフォローなど、営業に求められるスキルが多様化しているため「話すだけ」では成果を出しにくくなっています。

育成がうまくいかない典型的理由

人手不足、営業育成が属人的、自分の育成方法が正しいのか分からない・・「結果を出せる部下が育たない」と悩んでいる皆さんは、こんな不安をお持ちではないでしょうか。

営業担当者の育成の難しさの原因として、まずは人材不足があげられます。少子高齢化・人手不足が進む中で優秀な営業担当者を中途採用だけで揃えるのは難しくなっており、採用後の教育が欠かせない状況です。そして、育成が必須であるにも関わらず、社内で育成の仕組みが整っていない、成果を出す「型」がきちんと定義されていない、指導者が正しい育成方法を知らない、などというケースが多くなっているのです。

2.売れる営業担当者とはどんな人材か

営業担当者の育成方法とは

まず「どんな営業担当者を育てたいのか」を明確にしましょう。売れる営業担当者には、共通するスキル・マインドがあります。

売れる営業担当者の共通点

売れる営業担当者には、共通する考え方や行動パターンがあります。ここでは、顧客目線、コミュニケーション力、知識、目標達成力など、育成の軸となる力を整理して紹介します。

顧客目線で考えることができる

売れる営業担当者は、顧客の立場に立って考えることを徹底しています。

自社の都合や売りたい商品から考えるのではなく、「このお客様は今どんな状況にいて、どんな不安や課題を抱えているのか」といった視点から商談全体を設計していきます。そのために、事前のリサーチやヒアリングでビジネスの全体像を理解し、表面的なニーズだけでなくその奥にある潜在的な課題を理解する努力を惜しみません。顧客目線で考え続けることで、「味方でいてくれる営業」として信頼され、提案内容にも納得感が生まれます。

コミュニケーション力が高い

信頼関係を築くためのコミュニケーションスキルが高いことも特徴です。どれだけ提案内容が優れていても、「この人の話なら聞いてみよう」と思ってもらえなければ、商談は前に進みません。優秀な営業担当者は、相手の話を最後まで遮らずに聴く、専門用語はかみ砕いてわかりやすく伝える、ネガティブな情報もごまかさずに説明する、といった基本を丁寧に積み重ねています。また、オンライン・対面を問わず、表情や相づち、チャットでの一言フォローなどを通じて、「安心して相談できる相手」であることを示し続けている点も特徴です。

豊富な知識・インプットがある

説得力のある提案のために、豊富な知識と継続的に学び続ける姿勢も欠かせません。売れる営業担当者は自社商品・サービスだけでなく、競合製品、顧客業界のトレンド、関連する制度などにもアンテナを張り、市場と顧客の変化をキャッチアップしながら学び続けています。知識が豊富であればあるほど「なぜこの提案が適切なのか」を分かりやすく説明でき、急な質問にも慌てずに対応できるでしょう。また、複数の事例や数値データを用いて説明することで顧客が社内で稟議・説明を行う際の助けにもなり、結果として受注率向上にもつながります。

プロセスを設計し、チームで成果を出す意識が高い

売れる営業担当者は、商談を一発勝負にせずプロセスとしてとらえています。アプローチ、情報収集、提案、フォローといった一連の流れを自分なりに設計し、「どの段階で何を確認すべきか」「誰を巻き込むべきか」を意識して動いているのです。そして各段階ごとに失敗・成功の要因をきちんと振り返り、自分なりの勝ちパターンを磨いています。

また、そうして得られた学びをチームに共有する姿勢を持っていることも特徴です。個人のスキルアップだけでなく、チームとして営業力を向上させる意識が高く、ノウハウの共有や後輩の育成にも積極的に関わってくれます。

目標達成への強い意欲と行動力がある

最後に欠かせないのが、目標達成に向けて行動し続ける意欲と実行力です。売れる営業担当者は、与えられた売上目標をただ眺めるのではなく、「そのために今週・今日、何件のアクションが必要か」を自分で分解し、日々の行動計画に落とし込んでいます。うまくいかなかったときには原因を振り返り、上司や同僚からフィードバックを受けながら次の行動を修正していきます。この「試行錯誤を続ける姿勢」と「行動量・行動の質へのこだわり」が、短期的な成果だけでなく、中長期的な成長にもつながっていくのです。

今求められるのは「コンサルティング営業」型人材

今注目されている「コンサルティング営業」とは、顧客の課題解決を重視し、顧客のビジネス全体を分析したうえで最適な解決策を提案する営業スタイルを指します。コンサルティング営業には、「提案・解決まで導く説明力」「顧客に寄り添うヒアリング力」「顧客満足度・継続利用も重視する姿勢」が求められます。

単に商品の説明をするのではなく「導入後にどんな成果が見込めるか」「現在の業務にどう組み込むか」まで描いた提案ができるスキルが必要です。顧客の状況や課題を丁寧にヒアリングし、信頼関係を築くことも重要でしょう。目先の数字だけでなく顧客の成果、満足度、継続利用・再契約といった指標を重視することも大切です。

 

営業担当者の育成方法を考える際には、このようなコンサルティング型の要素を伸ばすことを意識すると育成の方向がブレにくくなるでしょう。

3.営業担当者の育成がうまくいかない原因

営業担当者の育成方法とは

営業担当者の社内教育が必須となっている今、多くの企業が育成に力を入れていますが、思うように成果が出ないことも。失敗の原因を知ることで、改善策が見えてきます。

育成ゴールがあいまい

目標がはっきりしないまま育成を進めてもうまくいく可能性は低いでしょう。

「売上を上げる」などという抽象的な目標ではなく、スキル・行動・マインドの到達点を具体的に設定する必要があります。
育成ゴールの設定に当たっては、経営方針・事業戦略と連動させることが重要です。自社でどんな営業担当者を育てるのか、どの市場で戦うのかという視点から営業担当者の育成プランを組み立て、ゴールを明確化しましょう。

属人的なノウハウに依存

営業担当者の育成が必須であるにもかかわらず、育成の仕組みが整わず現場任せになっているケースも見られます。「Aさんは売れているが、なぜ売れているのか分からない」というような状況では、育成や再現は難しいですよね。

準備の方法、質問の仕方、提案・クロージングのタイミングなど行動レベルでの成功パターンが言語化されていなければ、「背中を見て覚える」という属人的なノウハウに依存することになります。属人的な指導では人によって伸び方にムラが出たり、新人が成長できずモチベーションが下がって離職、ということにもなりかねません。指導者が育成方法に悩む原因にもなります。

 

学びが現場に定着しない

研修を実施しても翌週には元に戻っている、という声は少なくありません。研修効果が定着しない原因としては「研修の研修の目的・意義が十分に伝わっていない」「現場で実践する機会がない」「実践しても評価されない」などがあげられます。

 

営業担当者の育成においても、

・研修で学んだトークやフレームワークを活かす機会がない

・ロールプレイや動向後に振り返り・フィードバックの場がない

・新しい取り組みが評価されない

というような状況では、学びが日々の行動に結びつきにくくなります。

育てる側のスキル不足

指導者が正しい指導方法を知らなければ、効果的な育成は難しいでしょう。

新人の営業担当者が「フィードバックが曖昧でどこを直せばいいか分からない」「同行するだけで学びに繋がらない」「忙しくてフォローが後回し」と感じるような状況では育成がうまくいかないのも当然です。

教える側のスキルアップも重要なポイントですから、人材育成・指導研修、管理職研修などで指導者のスキルを磨くのがおすすめです。

4.効果的な営業担当者の育成方法6ステップ

営業担当者の育成方法とは

ここからは、実際にどのようなステップ・方法で営業担当者を育てていけばよいかを紹介します。ポイントは「体系的かつ実践的に行う」ことです。

何を、どのように行えばよいかを理解し、チームの成果と指導者の評価が同時に上がる育成方法を設計しましょう。

① 現状把握と育成目標の設定

まずは営業担当者の現状を把握し、問題点を洗い出します。スキルチェックシートによる自己評価・上司評価、商談やロールプレイの観察、1on1面談などを通してスキル・知識・行動の「できている」「できていない」を洗い出しましょう。
課題がはっきりしたら育成目標を設定します。目標は行動と成果の両方について定めることが重要です。
行動目標の具体例としては「1商談あたり最低10問はオープンクエスチョンを投げる」「毎週1件、失注案件の振り返りレポートを作成する」など、成果目標の具体例としては「3ヶ月後までに提案件数を30%増やす」などがあげられます。

② 営業プロセスの標準化

次に、売れる営業担当者の動きを「見える化」します。トップ営業の商談を録音・録画し、質問内容や順番、表現などを分析しましょう。アプローチから受注までの流れをフローチャート化したり、成功事例と失注事例を比較して、勝ちパターンを抽出するのも良いですね。

抽出した内容は、トーク例集、行動チェックリスト、商談準備シート、提案書テンプレートなどの形に落とし込み、誰もが再現可能な常態に近づけましょう。

③ OJT(On-The-Job Training)

OJTは、実際の業務を通じてスキルを身につける育成方法で、営業担当者の育成においても中心となる手段です。OJTの具体例としては、

 

・商談に同行し、同行後すぐに15〜30分の振り返りを行う
・ロールプレイングで、新人が「営業役」、先輩が「顧客役」を担当
・先輩が実際のメール文面や提案書を画面共有しながら解説する

 

などがあげられます。

「やって見せる」「やらせてみる」「フィードバックする」のサイクルを、日常的な業務の中に埋め込むことが大切です。

④ OFF-JT(Off-The-Job Training)

日々の業務から離れて行う集合研修やオンライン研修などをOFF-JTと呼びます。座学・研修・eラーニングなどで基礎理論・営業スキルをインプットします。

外部講師やAIツールを活用することで、最新の営業トレンドや他社事例に触れたり、自社だけでは用意しづらい体系的なカリキュラムを取り入れられることがOFF-JTのメリットです。

営業担当者の育成においては、営業の基本プロセス・マナー・コミュニケーション、ヒアリング、プレゼンテーション、コンサルティング営業の考え方・フレームワーク等のテーマを学ぶのに最適です。

セゾンパーソナルプラスでは、「営業の基本研修~コミュニケーション編~」「営業の基本研修~ヒアリング編~」「営業力強化研修~コンサルティング営業編~」など、営業担当者のスキルごとに分かれた研修カリキュラムが用意されています。

⑤ ロールプレイングとフィードバック

顧客役と営業担当者役に分かれて営業の疑似体験を行うロールプレイングは、営業スキルを「頭の理解」から「身体での理解」に変えるうえで非常に有効な手段です。また、現状の課題の洗い出しにも役立ちます。

ロールプレイングを行う際には、まず「初回訪問」「価格交渉」などのシナリオを決め、役割分担をします。5〜10分程度のロールプレイングを実施し、フィードバックを行いましょう。

ロールプレイング後のフィードバックは、できたこと・改善すべきことを明確に伝える必要があります。「良かった」ではなく「この質問の流れで、顧客の課題が整理されていた」、「もっと頑張ろう」ではなく「価格の話に入る前に、期待する成果をもう1度確認できるとさらに良い」といった行動レベルでの具体的なコメントが新人の成長につながります。

⑥ ナレッジ共有の仕組みづくり

最後に、学びを組織の資産として残す仕組みを作ることも重要」です。

例えば、社内Wikiに成功事例・トーク例・よくある質問とその回答を蓄積したり、チャットツールで「失注・学び共有チャンネル」を作ったり、月次の営業会議で1人1件ずつ「学びトピック」を共有したり、といった取り組みがあげられます。

 

セゾンパーソナルプラスの研修では、研修後に報告書作成や振り返りを行い、学びの定着と活用方法を提案する仕組みが用意されています。研修だけで終わらせず、「現場での実践」「ナレッジ化」まで一体で設計されており、営業担当者の育成に効果的な研修となっています。

5.売れる営業担当者を育てるためのコツ

営業担当者の育成方法とは

手法を導入しても、運用が続かない・定着しないこともあります。ここからは、実践現場で育成を成功に導くためのコツを確認していきましょう。育成がうまい指導者は、ポイントを押さえた手法で部下と上司からの信頼を掴んでいます。

モチベーションを維持する仕組みを整える

具体的で測定可能な目標を設定し、できる行動を細かく評価することで新人のモチベーションを維持しましょう。
営業担当者の育成においては、「SMART」などのフレームワークを活用し、具体的・測定可能な目標をに落とし込むこと、育った成果が正しく評価される仕組み作りが重要です。

また、「3ヶ月で売上◯%アップ」などの大きな目標だけでなく、「1日◯件のヒアリング電話」「週1回のロールプレイ」といった行動目標もセットしましょう。小さな達成も評価・承認し成功体験を積ませることで、営業担当者は成長の実感を持ち続けることができます。

育成は「型化」「再現性」を重視

属人的なノウハウに頼らず、誰でも同じ動きができる「型」をつくることが、営業担当者の効果的な育成、さらにはチーム全体の底上げにつながります。

ヒアリングの質問リスト、提案書の基本構成テンプレート、商談前後のチェックリストなど行動レベルの標準をつくり、そこから個人がアレンジしていくイメージです。

これにより、異動や採用によるメンバーの入れ替わりがあっても一定水準の営業力を維持しやすくなります。

報告・相談・振り返りのチャネルを設ける

営業担当者の育成方法として、日報や1on1を「振り返りの場」として機能させることも有効です。

営業担当者は育成する側も日々の業務や数字に追われて忙しく、新人育成の対応が後回しになりがち。そこで、口頭で伝えきれなかった「報告・連絡・相談」の場として日報を活用するのがおすすめです。

例えば、商談内容や結果だけでなく「良かった点」「うまくいかなかった点」「次回試したいこと」を記入してもらい、上司は数字だけでなくプロセスや学びにコメントするといった取り組みは、行動や課題の把握に役立つとともにタイムリーなフィードバックを可能にします。

週1回のショート1on1で行動目標の進捗や課題を確認するのも良いでしょう。現場での試行錯誤を継続的に支援することが新人の成長につながります。

指導者の育成力を高める

営業担当者の育成を成功させるには、育てる側のスキルアップが欠かせません。「自分ができる」ことと「効果的に教えられる」ことに必要なスキルは異なります。指導者としてのスキルを身につけるには研修が効果的です。

例えば、コーチング・フィードバックの基礎を学ぶ、指示出しと問いかけのバランスを身につける、部下の失敗を学びに変えるマネジメントを実践する、といったテーマは、多くの管理職・マネージャー向け研修で扱われています。

 

セゾンパーソナルプラスでは、人材育成・指導研修や階層別研修(初級管理職~上級管理職)など、マネジメント層向けのプログラムも提供しており、営業組織全体の育成力を高めるサポートが可能です。

継続的な学びの場を設ける

営業担当者は、商品・サービスだけでなく、市場環境やテクノロジーの変化にも対応し続ける必要があります。
業界トレンドや成功事例を共有する社内勉強会、外部セミナー・オンライン講座の受講などの機会を定期的に用意し、スキル磨きを日常の一部にしていきましょう。

 

セゾンパーソナルプラスでは、営業部門向けの研修に加え、ITリテラシーやDX・AI関連の学びを扱う研修も提供しており、デジタル時代の営業力強化に最適です。また、研修は専門のコンサルタントが企画からフォローまで対応し、継続的なスキルアップを支援します。

6.研修を活用し「売れる営業担当者」を増やす育成を

今回は営業担当者の育成方法について、育成が難しい原因や育成方法のポイントを詳しくお伝えしました。

顧客の情報武装・オンライン商談の普及などの営業環境の変化により、営業の難易度は確実に上がってきています。

売れる営業担当者を育成するためには、「売れる営業担当者像」を解析し明確な育成ゴールを定め、OJT・OFF-JT・ロールプレイング・ナレッジ共有などを組み合わせた体系的かつ実践的な育成プロセスを設計する必要があります。同時に、指導者の育成力や人材育成の考え方をアップデートし、学びが定着する環境を整えることも重要です。

 

こうした取り組みを社内だけで完結させるのは、時間・ノウハウの面で負荷が大きい場合もあるでしょう。
セゾンパーソナルプラスは、30年以上の実績と2万件以上の導入事例をもとに、職種別、階層別、テーマ別の研修プログラムを提供しています。

研修前の課題整理から、カスタマイズされた研修プランの設計、ロールプレイング中心の実践型研修、研修後のフォローまで、一貫してサポートできる体制も特長です。

営業人材の育成は、短期的な成果だけでなく会社の中長期的な競争力を左右します。今こそ仕組みとして育成に取り組み、売れる営業組織をつくりましょう。

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