2023.10.03
24卒(Z世代)新入社員の特徴とは?育成のポイントを解説

Z世代は物心ついたころからインターネットが身近にあるため、それまでの世代とは考え方や価値観が異なることが明らかになってきました。その中でも、2024年卒の新入社員はコロナ禍で大学生生活を過ごしたことにより、ほかの世代とは異なる傾向を持っています。本記事では、2024年卒の新入社員やZ世代の傾向とともに、育成時のポイントについて解説します。
Z世代は物心ついたころからインターネットが身近にあるため、それまでの世代とは考え方や価値観が異なることが明らかになってきました。その中でも、2024年卒の新入社員はコロナ禍で大学生生活を過ごしたことにより、ほかの世代とは異なる傾向を持っています。
本記事では、2024年卒の新入社員やZ世代の傾向とともに、育成時のポイントについて解説します。
1.2024年卒の新入社員の傾向とは

1990年代後半以降に生まれた世代を指す「Z世代」には、2024卒の新入社員も該当します。ただし、2024年卒の新入社員は前後の年代と比較した場合、以下のような傾向があります。
●コロナ禍だった大学生生活
●社会人との接触に慣れていない
●周囲の空気を読む傾向にある
ここでは、それぞれの傾向について解説します。
コロナ禍だった大学生生活
2024年卒の新入社員の傾向として挙げられるのは、大学入学時からコロナ禍におかれたことです。高校の卒業式や大学の入学式は中止や小規模での開催を余儀なくされ、オンラインでの対応で大学生生活がはじまりました。
2年生になっても対面授業は増えないため、大学生生活はオンラインしか知らないという人も少なくありません。多くの2024年卒の新入社員は、新しい人間関係の構築や大学生らしい経験を積まないまま、大学生生活を過ごしたのです。
社会人との接触に慣れていない
社会人との接触に慣れていないことも、2024年卒の新入社員の傾向に挙げられます。2023年卒は、1年生のときは対面が主流のキャンパスライフを送れていました。2025年卒や2026年卒になる学生は、対面での活動も増え、キャンパスライフを満喫できるようになっています。
しかし、2024年卒の新入社員は授業がはじめからオンラインが主流となっていたため、対面での交流に慣れていません。特に、大学生生活の前半2年間は教員や先輩と対面で交流する機会が少ないだけでなく、サークルやアルバイトの活動も制限されていました。
そのため、社会人との接触に慣れていない人も少なくありません。社会人と交流する場で、どのように振る舞えばいいのかわからない人もいるでしょう。2024年卒は、コロナ禍において特に厳しい状況を過ごした世代といえます。
周囲の空気を読む傾向にある
2024年卒の新入社員の傾向として、周囲の空気を読む傾向にあることも挙げられます。株式会社イー・ファルコンの調査によると、2024卒学生は周囲の空気を読み、歩調を合わせながら進む傾向にあることが明らかになりました。
2023卒と比較すると、挑戦志向が強い一方、物事を過敏に受け止める傾向もあります。これは、世の中自体がコロナ禍における感染症対策に敏感になっていたことと無関係ではないでしょう。
コロナ禍を過ごしたことにより、周囲の空気や状況の変化を敏感に察知する習慣が養われたと考えられます。
参考:e-falcon「今こそ知りたい「24卒学生」の特徴と対策~24・23卒学生約8万人のパーソナリティデータから読み解くリアル傾向~」
2.Z世代の新入社員の傾向とは

Z世代の新入社員の傾向として、以下の7つが挙げられます。
●スマホ・SNSネイティブ
●叱られるのが苦手
●自分の意思を大切にする
●対面でのコミュニケーションが苦手
●情報処理速度が速い
●物事に正解を求めるリアリスト
●多様性を受け入れる気持ちが強い
これは、インターネットの普及により、それまでの世代とはおかれた環境が異なることが要因と考えられます。ここでは、Z世代の新入社員におけるそれぞれの傾向について解説します。
スマホ・SNSネイティブ
Z世代の新入社員の傾向として、スマホ・SNSネイティブであることが挙げられます。1990年代後半からインターネットが普及しはじめ、物心ついたときには、インターネットが身近にある環境で過ごしました。
スマートフォンが普及しはじめた2010年以降には、携帯電話を持ちはじめる年齢を迎えています。はじめからスマートフォンを持っていた人も少なくないでしょう。スマートフォンで情報収集をすることも多く、SNSも使いこなします。
SNSを通じて、友人たちと常につながっていることが当たり前です。そのため、周囲と軋轢を生まないような自己表現や、SNSの種類ごとの使い分けにも長けています。
参考:総務省「情報通信白書平成29年版」
叱られるのが苦手
2つ目の傾向として挙げられるのは、叱られるのが苦手なことです。親世代は、バブルや受験戦争の経験から、子どもに対しては個性重視で育てる傾向があります。そのため、子どもと友達のような関係性を築く人も少なくありません。
必要以上に個性や自由を求める「モンスターペアレンツ」と呼ばれる人もでてくるようになりました。学校や家庭で叱られずに育った人も多く、叱られること自体に慣れていない人もいます。
自分の意思を大切にする
3つ目の傾向として挙げられるのは、自分の意思を大切にすることです。Z世代は個性重視で育てられたことにより、多様性や個性を大切にしています。内閣府の調査によると、人生観に関する調査で「自分には自分らしさというものがあると思う」と回答した人は、70%を超える結果となりました。
仕事の指示をだす際も、目的や内容を丁寧に説明し、納得しなければ動かない傾向にあります。ただし、自分の意思を大切にする一方、自発的に行動するのではなく、相手からのアクションを待つケースが多いことも特徴です。
参考:内閣府「令和2年版 子供・若者白書 特集1 子供・若者の意識と求める支援について」
対面でのコミュニケーションが苦手
4つ目の傾向として挙げられるのは、対面でのコミュニケーションが苦手なことです。Z世代は、SNSを媒介とするコミュニケーションを主としてきました。SNSでは、自分と気が合う人や考え方が似ている人とだけ付き合えます。
そのため、苦手な人と接すること自体を避ける傾向があります。しかし、仕事では自分が付き合いやすい人とだけ関わるわけにはいきません。いざ苦手な人と関わるようになった際の付き合い方がわからず、うまくコミュニケーションが取れなくなるのです。
また、Z世代は周囲との関係性を意識しすぎるあまり、相手の反応を恐れ、報連相を苦手とする傾向もあります。これは、スマートフォンの普及とも関係しています。スマートフォンを使用して情報収集し、自分だけで疑問を解決してしまう習慣がついているため、周囲に確認したり意見を求めたりすることが苦手になるのです。
情報処理速度が速い
5つ目の傾向として挙げられるのは、情報処理速度が速いことです。デジタルネイティブなZ世代は、日頃からテレビを見ながらLINEで友達と連絡を取り、SNSで情報収集するといったマルチタスクをこなしています。
そのため、直感的に情報を判断することが多く、情報処理速度が速い傾向にあります。新しい情報に対する感度も高く、物事の効率性も重視する傾向にあるため、作業効率を上げる発想が自然にでていることも特徴です。
そのため、紙ベースでの作業方法がメインとなっている企業に就職した場合、アナログな作業方法が気になる人もいます。
物事に正解を求めるリアリスト
6つ目の傾向として挙げられるのは、物事に正解を求めるリアリストであることです。Z世代は子どもの頃からインターネットに慣れ親しんできました。疑問があればすぐにインターネットで調べる癖がついているため、物事には正解があるものと考えている傾向があります。
しかし、世の中には明確に答えをだせないものが多く存在します。正解を求めるZ世代にとって、正解のない状況におかれたときに、不安を感じてしまう可能性もあるでしょう。
また、Z世代は多感な年頃にリーマンショックや東日本大震災、物価上昇といった経済や社会が不安定な時期を経験してきました。そのため、消費に対して保守的で、物を所有するのではなく、友人との楽しい時間や体験といった精神的な豊かさを求める傾向があることも特徴です。
多様性を受け入れる気持ちが強い
7つ目の傾向として挙げられるのは、多様性を受け入れる気持ちが強いことです。インターネットに慣れ親しんできたZ世代は、国内外の情報に多く触れてきました。そのため、多様な人や価値観が存在することを受け入れています。
また、SNSを使いこなしながら育ってきたZ世代は、他者を受け入れる気持ちを持つと同時に、自分が他者に認められたいという気持ちも持っています。これは、SNSでの自分の投稿に対し「いいね」の数を求めてきたことが要因でしょう。
人に認められることを目的として頑張れるものの、認められない状況が続くと、意欲を失ったり、不満を抱えてしまったりする可能性も考えられます。Z世代に対しては、承認欲求を満たしてあげることも念頭において接する必要があるでしょう。
3.2024年卒(Z世代)新入社員の育成ポイント

Z世代である2024年卒の新入社員を育成する際のポイントとして、以下の4つが挙げられます。
●個々の価値観を重視する
●できたことを承認し褒める機会を増やす
●オープンなコミュニケーションを意識する
●新入社員研修を行う
ここでは、それぞれのポイントについて解説します。
個々の価値観を重視する
2024年卒の新入社員を育成する際のポイントとして、個々の価値観を重視することが挙げられます。これまでの育成では、どの社員でも同じように教育することが一般的でした。しかし、Z世代は自分の意思や価値観を大切にしています。
一方的に価値観を押し付けてもついてきません。一人ひとりの意思や価値観を尊重したうえで、それぞれに合った育成方法を探ることが大切です。
できたことを承認し褒める機会を増やす
できたことを承認し、褒める機会を増やすことも大切です。Z世代は承認欲求が高いため、周囲から承認されていると感じることが仕事のやりがいにつながります。
ただし、結果を褒めるだけではいけません。仕事の過程での頑張りや、やりがいを感じていることに気づき、ポジティブな言葉をかけることがポイントです。ポジティブな言葉の積み重ねが、自信へとつながっていくでしょう。
オープンなコミュニケーションを意識する
オープンなコミュニケーションを意識することもポイントです。情報収集力に長けているZ世代にとって、情報はオープンであるべきものです。評価基準やルールの根拠を教えてもらえない場合、不信感を持つ可能性があります。そのため、公開できる情報は積極的に公開していく必要があります。
しかし、公開できない情報もあるでしょう。その場合、公開できない理由を説明することが大切です。上から押し付けるような接し方ではなく、オープンなコミュニケーションを意識しましょう。
新入社員研修を行う
新入社員研修を実施し、ビジネスに必要な力を養うことも大切です。Z世代、特に2024年卒の新入社員は、オンラインを中心とした大学生生活を送りました。そのため、入社後に上司や同僚との関係構築や会社の風土に慣れることに不安を感じています。
新入社員研修で、コミュニケーションの取り方や仕事に対する考え方を教育することにより、不安を取り除けます。ただし、前述したように一律的な教育では、Z世代には響きません。
一人ひとりと向き合い、意思を尊重したうえで仕事をするために必要な能力を身に付けさせることが大切です。
4.企業研修プログラム
TRAINING BY HIERARCHY
階層別研修
TRAINING BY HIERARCHY
階層別研修
新入社員~経営層まで各階層の役割・ミッションに応じた知識・スキルを学べる研修カリキュラムです。
THEME
テーマ別研修
THEME
テーマ別研修
学習したいテーマに特化して知識・スキルを学べる研修プログラムです。
5.まとめ

1990年代後半以降に生まれた世代を指す「Z世代」のうち、2024年卒の新入社員はコロナ禍で大学生生活を過ごしたことにより、社会人との接触に慣れていない、周囲の空気を読むといった傾向があります。
Z世代は物心ついたころからインターネットがある環境で育ったため、スマホ・SNSネイティブであることや、情報処理速度が速い、多様性を受け入れる気持ちが強いといったポジティブな傾向を持っていることが特徴です。しかし、対面でのコミュニケーションが苦手であることや、物事に正解を求めすぎるといったネガティブな傾向もあります。
これらの傾向を持つ新入社員を育成する際のポイントとして、以下の4つが挙げられます。
●個々の価値観を重視する
●できたことを承認し褒める機会を増やす
●オープンなコミュニケーションを意識する
●新入社員研修を行う
Z世代には、一律的な教育では響きません。新入社員一人ひとりと向き合い、意思を尊重したうえで接することが大切です。
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