2023.12.11
アンラーニングとは?メリットとデメリット、実践方法や注意点を解説!

アンラーニングとは、従来の経験やスキル、知識を一度棄却し、時代に適した新たなものを取り入れる学習スタイルです。情報や情勢の変化が著しいビジネス環境の現代では、新たな知識の習得を積極的に行おうとするアンラーニングが、組織と個人の成長に欠かせない要素になりつつあります。今回は、アンラーニングの重要性や実施方法、成功のための注意点について解説していきます。
アンラーニングとは、従来の経験やスキル、知識を一度棄却し、時代に適した新たなものを取り入れる学習スタイルです。情報や情勢の変化が著しいビジネス環境の現代では、新たな知識の習得を積極的に行おうとするアンラーニングが、組織と個人の成長に欠かせない要素になりつつあります。今回は、アンラーニングの重要性や実施方法、成功のための注意点について解説していきます。
1.アンラーニングとは
まずは、アンラーニングの基本的な定義や意味について解説していきます。
アンラーニングの定義
アンラーニングとは、現在の状況に適さない過去の知識や経験を捨て、新しい知見を積極的に取り入れることを指します。
積極的に新たな知識やスキルを学ぶことで、古い枠組みを超えて従来にはなかった発想を生み出すことが可能となります。
こうした過去の成功体験に縛られない学習姿勢は、個人のキャリア開発だけでなく、企業全体のイノベーションを促進し、組織の柔軟性を高めることにもつながります。
経験学習との関係性
経験学習とは、業務の中で得た経験を通じて学び、次回の業務や作業時に活かす学習サイクルのことをいいます。
実際の仕事をしている中で経験と学びを積み重ねることができるため、より実用的なスキルや知識のアップデートが可能です。
経験学習を行う際には、事前にアンラーニングの実施が必要不可欠です。
過去に行ってきた知識や手法にこだわっていては、経験を得られたとしても新しい知識として捉えることができずスキルが身につきづらくなってしまいます。
経験学習を実施する場合、まずはアンラーニングを行い学ぶことを心がけましょう。
リスキリングとの違い
リスキリングは、新しい技術や職務に適応するために新たな技能や知識を習得することを指すのに対し、アンラーニングは既存の知識やスキルセットを見直し、更新するプロセスのことをいいます。
リスキリングが「新しいことを学ぶ」に焦点を当てている一方で、アンラーニングは「古い考えを再評価し、必要に応じて改善する」ことに重点を置いています。
昨日までの常識が今日では非効率であることを受け入れ、新しい方法を模索する姿勢は、現代のビジネスにおいて不可欠です。アンラーニングとリスキリングの両方を取り入れることで、企業は変化する市場環境に柔軟に対応し、持続可能な成長を実現できるのです。
アンラーニング必要とされるようになった理由
現代のビジネス環境は、テクノロジーの急速な進化、市場のグローバル化、消費者ニーズの多様化により、かつてない速度で変化しています。
企業や個人がこうした目まぐるしい変化に迅速に対応し、競争優位を維持するためには、過去の成功体験にとらわれず、柔軟かつ効率的な思考と行動が必要不可欠です。
技術革新により、従来のビジネスモデルや業務プロセスが陳腐化が加速し、新しい技術やプラットフォームが登場するたびに、企業は従来のやり方を見直すとともに、新たな環境に適応する必要があります。
こうした適応過程においても、アンラーニングを行うことで、古い枠組みから脱却し、新しい視点を取り入れやすくなるのです。
労働市場の変化に伴い、従業員もまたキャリアの選択肢を再考し、新たなスキルを身につける必要に迫られています。
一生涯同じ職に就くという考え方が古くなりつつあり、キャリアの多様性と流動性が高まっている現代において、アンラーニングは、キャリアの再設計において、新しい可能性に目を向ける鍵となりえます。
2.アンラーニングを企業で導入するメリット

アンラーニングの導入は、企業にとって多くの利点をもたらします。
ひとつひとつご紹介します。
効果的な人材育成の実現
効果的な人材育成は、現代のビジネスにおいて極めて重要です。
企業の人材育成にアンラーニングを取り入れることで、従業員は過去の方法に固執することなく、新しいスキルや知識を積極的に学ぶことも可能にします。
こうした従業員の学ぶ意欲は、特に急速に変化する業界や職務において重要であり、仕事で直面する課題にも柔軟に対応できる能力の醸成も期待できます。
また、従業員が自らのキャリアデザインを考え、個人の成長と企業の目標を同時に達成する一つの指標設定を促すこともできるでしょう。
業務効率の向上
アンラーニングの導入は、業務プロセスの効率化も期待することができます。
従来の手法や考え方に固執することなく、より効果的なアプローチを採用することができれば、データ駆動型の意思決定や、新しいテクノロジーを活用した業務改善などにもつながるかもしれません。
こうした学習への取り組みにより、従業員はより生産的かつ、創造的な方法で業務に取り組むことができ、結果として全体の業務効率が向上する一助となるのです。
変化・変革に強い組織作り
組織全体が既存知識に固執し、新たな知識への学習意欲が低ければ、変化著しい現代のビジネスシーンにおいて遅れを取る原因になりかねません。
アンラーニングを通じて、従業員が古い考え方や手法から脱却し、常に新しいアイデアや戦略にオープンである文化を育てることが理想的です。組織全体が変化を恐れず、むしろそれを受け入れ、新しい機会として捉えることができれば、市場の変化や競争に迅速に対応する能力を高め、企業の長期的な成功にもつながるでしょう。
3.アンラーニングの実施方法
アンラーニングのプロセスは、個人と組織の成長を促進するために、計画的かつ段階的に進めることが重要です。以下に示すステップは、アンラーニングを効果的に実施するためのガイドラインです。段階に分けて解説していきます。
個人での内省
アンラーニングの第一歩は、自己内省から始まります。
まずは自身のスキルセット、信念、行動パターンについて深く考え、それらが現在の職業的要求や市場の動向にどの程度適合しているかを評価していきます。
自己内省を踏まえ、自らの成長が必要な分野、スキルを特定し、今後に向けての学習計画を設定するのです。デジタルスキルであったり、コミュニケーション能力の向上であったり、ひとりひとりの状況に応じて決めていきます。
具体例としては、
・従業員個人レベルの目標設定
・自己評価の実施
・チーム内からの評価聞き取り
といった取り組みが挙げられます。
価値観の取捨選択
次に、価値観の見直しを行います。
従業員は、過去の成功体験や慣習に基づく価値観を再考し、現在と未来の目標に合致するものを選択します。
古い価値観を手放し、新しい状況や目標に合った新たな価値観を採用することで、従業員はより柔軟な思考を持ち、新しい挑戦に対して積極的に取り組むことが可能になります。
既存の製品やサービスに対する固定観念を捨て、顧客の変化するニーズに応じた新しいアイデアを生み出す、といったように既存の常識をフラットな目線で捉え、何が必要で何がいらないのかを選別していきます。
具体例としては、
・従業員個人レベルでの自己分析の実施
・価値観のアップデート
・企業やチームビジョンボードの作成
といった取り組みが挙げられます。
気づき・学びの機会を設け実践する
アンラーニングでは、知識の更新だけではなく、新たな気づきや学びの機会を積極的に探し、日常の業務やプロジェクトに組み込んでいきます。
新しいテクノロジーや手法を実際のプロジェクトに適用してみる、業界のトレンドに関するセミナーやワークショップに参加するなど、実践を通じて学んでいきます。
従業員が新しいスキルや視点を身につけ、より効果的な働き方をできるようになれば、従業員のモチベーションは高まり、新しい知識の定着も促進されます。
具体例としては、
・従業員へ研修や講義の実施
・プロジェクトへの抜擢
・eラーニングの導入
といった取り組みが挙げられます。
効果測定の実施
最後に、アンラーニングの効果を測定します。
目標設定、進捗の追跡、結果の評価を通じて、従業員と組織にはどんな変化があったのかを正確に把握していきます。
測定後にフィードバックをすることで、将来にかけて改善と成長を持続させることが大切です。例えば、新しいスキルの習得レベル、業務プロセスの改善、チーム内のコミュニケーションの向上など、具体的な指標を設定し、定期的に評価を行います。
具体例としては、
・社内アンケートの実施
・上司との定期面談の実施
・従業員による自己評価を実施
といった取り組みが挙げられます。
4.アンラーニング実施時の注意点

アンラーニングを効果的に実施するためには、いくつか注意しておくべきポイントがあります。アンラーニングをスムーズに進行していくためにも、しっかりと確認しておきましょう。
モチベーションの低下
これまで自分たちが行ってきた方法や知識を一時的に失うことで、従業員のモチベーションが低下する恐れがあります。
中には自分のやり方を否定されたと捉え、自信を失ったり、学習に対する意欲を失ったりする従業員もいるかもしれません。
そのため、周囲の上司や先輩社員によるサポートや、個々の従業員の成果を認識し評価する文化の醸成が重要です。
具体的な目標設定や、小さな成功を祝うことで、モチベーションを維持し、プロセスを前進させることを心がけましょう。
チーム単位で行う
アンラーニングは個人だけでなく、チーム単位で行うことをおすすめします。
チームで学ぶことにより、互いの経験や知識を共有し、学習の効果を高めることができるとともに、チームメンバーがお互いをサポートし合うことで、アンラーニングのプロセスがより容易になり、組織全体の成長にもつながります。
チーム単位でアンラーニングを進めることにより、新しいアイデアや方法論が生まれやすくなり、革新的な成果を生む可能性が高まる側面があるのです。
内省が自己批判にならないよう注意
アンラーニングの過程での内省は、自己批判に陥らないように注意が必要です。
過去の知識やスキルが現在の状況に合わないと感じたとき、自己否定につながりかねません。
内省は、自己の能力を客観的に評価し、成長のための機会を見出すためのものであるため、ポジティブな視点を持つことが重要です。自己の長所や過去の成功を認識し、それらを新しい環境や要求に適用する方法を考えることが効果的です。
ラーニングや学びを否定しない
アンラーニングは、過去のラーニングや学びを否定するものではありません。むしろ、過去の学びが現在の状況に適応するための基盤となります。
新しい学びを受け入れるためには、過去の知識や経験が有用であったと認識し、新しい状況に合わせてアップデートすることが必要不可欠です。
アンラーニングとラーニングは、相互に補完し合う関係にあり、両者をバランス良く進めることが、個人と組織の成長につながります。
5.アンラーニングで効果的な人材育成を
アンラーニングの重要性や実施方法、成功のための注意点について解説しました。
アンラーニングの導入は、効果的な人材育成、業務効率の向上、変化・変革に強い組織作りへの貢献というメリットがあります。今後、時代の潮流に乗れるように従業員の学習環境に力を入れようと考えている方は、ぜひアンラーニングを取り入れてみてはいかがでしょうか。
セゾンパーソナルプラスでは、企業のアンラーニング導入をサポートする研修を数多くご用意しています。少しでもご興味のある方は、ぜひお気軽にお問合せください。
6.企業研修プログラム
TRAINING BY HIERARCHY
階層別研修
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階層別研修
新入社員~経営層まで各階層の役割・ミッションに応じた知識・スキルを学べる研修カリキュラムです。
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