HOME 人材育成コラム 『オンライン環境で新人育成をすすめるために~4つのポイントをおさえる~』 Author:増田 和芳

『オンライン環境で新人育成をすすめるために~4つのポイントをおさえる~』 Author:増田 和芳

新年度が始まり、昨年同様にコロナ禍での入社式から始まりました。令和3年度入社の新入社員の方々は入社後の研修期間中はオンラインや在宅での研修受講などを余儀なくされるでしょう。研修期間が経過した後もテレワークや在宅勤務で、指導役の先輩社員と離れた場所で仕事をして、遠隔で様々な指導を受ける状況になるのが想像できます。
受け入れる側の先輩社員は、昨年からのコロナ禍を経験していても、どのようにして新入社員に接したらいいか迷いが出てきてしまい、十分に指導ができないままに時間が過ぎてしまうことにもなりかねません。同じ空間で顔を見ながら指導できないとなると、言いたいことが伝わらないもどかしさも感じます。加えて自身の業務にも悪影響が出てしまうのも懸念されます。

オンライン環境で新人育成をすすめるために~4つのポイントをおさえる~

オンライン環境でどのようにして新入社員を育成するか?昨年度に引き続き今年度も悩ましい問題といえます。

今年度は、昨年のコロナ禍を経験しているため、昨年の経験を踏まえての精度をあげたかかわり方が必要になるでしょう。「あの会社ができているのだから私たちもやろう」という声があがってきそうです。

そこで、本格的に新入社員の現場での育成が始まる前に、改めて、オンライン環境でどのような点に注意して新入社員の育成をすすめていけばいいのか?今回は4つのポイントを確認していきます。

1.最初が肝心!あいさつと声掛けの実践

まずはお互いに緊張している関係を、日々少しずつ柔らかなものにしていく必要があります。
そこで必要となるのは、お互いの存在を確認することです。
具体的には、朝、就業開始時間前に接続して「おはようございます」という具合に、必ず決まった時間にあいさつをかわすのを習慣にします。
オンラインではない対面での職場において、新入社員にあいさつすらしない先輩社員がいて問題になることもあります。
あいさつという存在を認めるための行動は、オンラインでは避けて通れないものですし、そもそもビジネスマナーの基本を学んだばかりの新入社員にあいさつをしないのは言語道断です。

また、あいさつとともに、毎朝お互いの健康状態を確認するためにも積極的に声がけをしましょう。
健康で元気な表情をお互いに見せなければ、指導もうまくいきません。
新入社員の表情から元気であることが伝わってくれば、より具体的な業務指導をすすめやすくなります。
そのためにも先輩社員側から声をかけてください。「どう調子は?」「昨日はよく眠れましたか?」といった具合に話しかけて、新入社員が社会人として慣れるためのかかわりを実践してください。

2.日々の目標を設定させて振り返る

毎日、何時に接続を開始するのかを決めて健康状態を確認した後に、仕事を進めていくための段取りをします。
配属されたばかりのころは、新入社員は何をしていいのか戸惑います。
最初は業務内容を教えたうえで、実際にやってもらう業務の指示をする必要がありますが、その際に、漫然とやり方だけを機械的に伝えるのではなく、新入社員が主体的に取り組めるための工夫を織り交ぜてください。

主体的に取り組むための工夫として必要になるのは、新入社員が業務遂行の目標を毎日設定することです。
目標の内容の質も当然問われますが、目標を設定するという行動を習慣化するのが一番のねらいです。
目標を決めずに業務をすすめてしまうと、漫然と時間が過ぎてしまい、「今日一日は何をしていたのか」と疑問を抱いて終わってしまいます。

たとえば、「○○を一日の中で終える」「○○の業務手順を覚える」「取引先向けの文書を作成する」など、育成計画に応じて目標を設定させてください。
目標を設定したら、それに対してどのような行動をしたかを必ず振り返ります。
一日の最後に振り返る前には、業務時間中に中間報告の機会を確保します。
最低でもこれで1日3回は新入社員と話をする時間が確保できます。

忙しくて3回も時間を確保するのは難しい、という声も出てきそうですが、長時間の面談が必須ではありません。
短い時間でもいいので接点をもつのが大切なのです。
オンライン環境での指導で大切なのは、一日のどこかで複数回、新入社員と接点をもつことです。
コミュニケーションの手段を確保して、新入社員が成長できる環境を整えてください。

3.重要業務の補助を早期に担当してもらう

近年の新入社員は、入社して早期の段階で重要な業務を任させる傾向があると感じます。
たとえば、あるベンチャー企業では人事部門の責任者になった社員がいます。
また、ある老舗の中小企業では、SNSを用いた広報業務などを担い、公式インスタグラムやLINEなどを使って商品にかかわる情報を発信する責任を担っている新入社員もいます。
最近では、ソフトウエア開発や販売を主力事業としているサイボウズ株式会社が、新卒1年目の社員を取締役候補としたことが話題になりました。
社内公募とはいえ、新卒1年目社員が取締役に名を連ねるというのは異例です。それだけ新入社員が重要な業務を任される機会が増えているといえます。

オンライン環境であっても、同じように新入社員に重要な業務を任せられるかというと、同じ空間で業務をしているわけではないので難しいように感じます。
ただ、重要な業務を早期から新入社員が担っているのは、どのような環境で仕事をしていてもできることです。先述のサイボウズ株式会社は自社のグループウェアを使用したリモートワークなどで非常に有名な会社です。
どのような環境でも新入社員には早期のうちに重要な業務を担ってもらうのが期待されるのです。

そのためにも、まずは上司や先輩が担う重要業務の補助を早いうちからやってもらうようにしましょう。
上司や先輩が参加するプロジェクトミーティングなどに参加し、議事録作成やミーティング準備など、オンライン環境でもできる業務を担ってもらうようにします。
会議の時間の予約、資料の画面共有のための準備、必要であれば事前配布などをテキパキとできるようにするのです。
簡単なように見える業務であっても抜かりなくやれるようになるためには、何度も失敗して習得するのが一般的ですから、育成にある程度の時間がかかる可能性はあります。
それでも期待を寄せるのであれば、たとえオンライン環境であっても、どんどん業務を覚えてもらうことが必要です。

4.部署内のコミュニケーションの起点になってもらう

部署内のミーティングの場面等では、新入社員には早めに存在感を示せるように指導してください。存在感とは、「新入社員が同じ部署で働いている」という実感を他の社員にももってもらうということです。
最初は名前を覚えてもらい、どのような人なのかを知ってもらう。
そして、徐々に朝礼やミーティングの進行役を担ってもらいます。
また、部署内でオンライン飲み会などのイベントをやるときには、オンライン環境で楽しめる企画などを考えて実施してもらってもいいかもしれません。
オンラインツールやITに強い人材であればそつなくこなせるのではないでしょうか。

コミュニケーションの起点とは、まさにオンライン環境の場づくりを担ってもらうことです。
オンライン環境でどうしてもコミュニケーションがとりにくいと思ってしまうと業務が円滑にすすまなくなってしまいます。
社員同士がコミュニケーション不足にならないように、コミュニケーションがとりやすい関係を新入社員が中心になってつくってみてはどうでしょうか?
場づくりのための簡単なワークなど、お互いに笑いあえるような取り組みを中心になって進行してもらうのです。
上司や先輩も積極的に参加してコミュニケーションをとってもらうのです。
新入社員が中心になって場づくりができれば、まさに彼らがコミュニケーションの起点になります。
「ムードメーカー」的な位置づけとも言えますが、単に彼らだけが盛り上げるのではなく、上司や先輩とコミュニケーションをとれるきっかけをつくる役割を担ってもらいましょう。
指導役の先輩社員が新入社員のサポート役を買って出てくださいね。

以上、オンライン環境で新入社員育成をすすめるための4つのポイントをまとめました。
新入社員が部署に配属されてすぐにやってもらうことから、一定期間を経てからの取り組みまで含まれています。
ただ、一定期間といっても、そんなに長い先のことではありません。
もっとも早ければ、配属になって数日間ぐらい経ってからできるものもありますね。

コロナ禍の厳しい状況で面接などを経験してきた新入社員はとても優秀です。
その優秀さを職場環境のせいで潰してしまっては意味がありません。新入社員は大変な思いをするかもしれませんが、同じ組織で厳しい環境を乗り越えるには、年齢もキャリアも関係ありません。
一緒になって業務に取り組み、新入社員の孤立を防ぐためにもどんどん業務を任せてみてください。
任せるといっても、意味もなく負荷をかけるのではなく、目標を設定して取り組んでもらうようにするのです。
オンライン環境であってもコミュニケーションを大切にしながら、早期に新入社員が戦力になって活躍してもらえるように取り組んでみてください。

5.オンライン指導力強化研修

◇オンライン指導力強化研修(7時間)
オンラインでの指導場面に必要な知識やスキル、現場でのオンライン指導に活かせるポイントを確認し、実際にオンラインでのOJTやマネジメントにいかすための研修です。

6.オンライン商談研修(コミュニケーション力強化・営業力強化)

◇オンライン指導力強化研修(7時間)
オンラインでの指導場面に必要な知識やスキル、現場でのオンライン指導に活かせるポイントを確認し、実際にオンラインでのOJTやマネジメントにいかすための研修です。

◇オンライン版営業プレゼンテーショ力強化研修(3.5時間)
オンラインでのプレゼンテーション力で大切な要素となるデリバリースキルやコンテンツについて学び、相手に伝わる伝え方のポイントを簡単なワークを通して身に付けます。

◇オンライン版営業力強化研修~質問力強化編~(4時間)
オンラインで営業商談を行う際に必要な顧客とのコミュニケーションのポイントを学びます。商談の実習を通して、自身のスキルアップポイントを確認し、今後の営業商談に活かせるようにします。

◇オンライン商談徹底習得研修~基本を身につける~
オンラインツールを使った商談時の営業の基礎知識を身につけます。商談の実習を通して、自身のスキルアップポイントを確認し、今後の営業商談に活かせるようにします。

◇オンライン版コミュニケーション力アップ研修~傾聴力強化編~(3.5時間)
コミュニケーションにおいて、特に言葉以外の要素で相手が受ける影響について理解し、安心安全の場をつくる方法を学びます。また、リモートでの話の聴き方について確認し、お互いに心を開いてコミュニケーションを行えるようになるコツをつかみます。

7.オンラインファシリテーション研修(基本編・応用編)

◇オンラインファシリテーション研修(基本編)
オンライン会議の場のつくり方や参加者とのかかわり方について、様々な実習を通して理解し、実践できるようにします。

◇オンラインファシリテーション研修(応用編)
オンライン会議などの準備や段取りのポイントについて確認し、自部署のオンライン会議の運営に活かします。オンライン会議実習でロールプレイや他者の観察を通してスキルのレベルアップを図り、実践できるようにします。

8.ゲストプロフィール

増田 和芳(ますだ かずよし)講師

<経歴>
三菱UFJニコス株式会社,株式会社日本マンパワー,ソフトブレーン・サービス株式会社合同会社富士みらいクリエイション代表

<資格>
国家資格キャリアコンサルタント
(公財)21世紀職業財団認定ハラスメント防止コンサルタント
(一社)日本産業カウンセラー協会認定産業カウンセラー
(一財)生涯学習開発財団ワークショップデザイナー

1976静岡県富士市生まれ。大学卒業後、大手信販会社で営業及び債権管理業務を経験。28歳の時に大手教育研修サービス会社へ転職し、約10年間法人営業職として勤務。キャリアデザイン研修やヒューマンアセスメント研修等の企画、営業に携わり、トップセールスとして表彰も受けた経験あり。33歳で営業課長に昇格。通算部下6名の育成に携わる。営業現場の業務改善や営業人材育成に取り組み、営業マニュアル作成や全社教育体系作成プロジェクトでは中心的な存在を担った。また、全社員対象ハラスメント防止研修等の社内研修講師としても活躍。一時は自律神経失調症で苦しむ経験をしたが克服し、2015年3月に営業コンサルティング会社へ転職。ソリューション営業スキル向上、マネジメント、組織内コミュニケーション向上等をテーマに、コンサルタントとして活動し約420回研修講師として登壇。オンライン型及び対面型どちらでもワーク主体の研修を中心に実施し、それぞれの特徴を活かして学びや気づきを促進する研修手法は、受講者から「わかりやすい内容で、現場ですぐに使えることが多い」と評判。