2026.05.18
ITリテラシー・AIリテラシーとは?全社員に必要な理由と習得方法を解説
生成AIの急速な普及やクラウドサービスの浸透、業務システムのデジタル化など…。ここ数年で、ビジネスの現場を取り巻くIT環境は劇的に変化しました。こうした変化の波はIT部門やエンジニアだけでなく、人事・総務担当者、営業職などあらゆる職種の社員に押し寄せています。その結果、企業の人事担当者や管理職が直面しているのが、「社員のITリテラシー・AIリテラシーの底上げ」です。社員のリテラシーが高まると、業務効率化やDX推進の加速といった恩恵が受けられる一方で、不十分なままでは、情報漏洩やサイバー攻撃、AIの誤用といったリスクが顕在化します。本記事では、ITリテラシー・AIリテラシーの定義と構成要素を整理したうえで、効果的な習得方法を解説します。
生成AIの急速な普及やクラウドサービスの浸透、業務システムのデジタル化など…。ここ数年で、ビジネスの現場を取り巻くIT環境は劇的に変化しました。こうした変化の波はIT部門やエンジニアだけでなく、人事・総務担当者、営業職などあらゆる職種の社員に押し寄せています。
その結果、企業の人事担当者や管理職が直面しているのが、「社員のITリテラシー・AIリテラシーの底上げ」です。社員のリテラシーが高まると、業務効率化やDX推進の加速といった恩恵が受けられる一方で、不十分なままでは、情報漏洩やサイバー攻撃、AIの誤用といったリスクが顕在化します。
本記事では、ITリテラシー・AIリテラシーの定義と構成要素を整理したうえで、効果的な習得方法を解説します。
1. ITリテラシー・AIリテラシーとは何か
まずはITリテラシーとAIリテラシー、それぞれの定義と構成要素を確認し、両者の違いを見ていきましょう。
ITリテラシーの定義
ITリテラシーとは、情報技術(Information Technology)を適切に理解・活用する能力の総称です。単にパソコンが操作できるというレベルにとどまらず、デジタルツールやネットワークを業務目的に合わせて使いこなし、情報を正しく判断・活用する力を指します。
厚生労働省の「基礎的ITリテラシーの習得カリキュラムに関する調査研究報告書」(※)では、ITリテラシーが、IT業界に限らずITを活用する全産業の人が身につけるべき基礎的な能力として位置づけられています。つまり、特定のIT職種だけに求められるスキルではないのです。
(※)出典:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/jinzaikaihatsu/hellotraining/kisoteki_it.html
ITリテラシーの構成要素
ITリテラシーは、主に3つの要素から構成されています。
情報基礎リテラシー
必要な情報を収集・整理・評価・活用する能力です。業務に関連する情報をインターネットや社内システムから適切に検索・取捨選択したり、信頼性の低い情報に騙されずに意思決定できる力を指します。また、フェイクニュースや詐欺的なWebサイトを見分ける判断力もこの分類に含まれます。
コンピューターリテラシー
PCやスマートフォン、業務用ソフトウェアを目的に応じて操作・活用する能力です。Excel・Word・PowerPointなどのOfficeツールの実務活用や、社内システム・グループウェアの操作が代表的です。タイピングスキルやファイル管理、クラウドストレージの利用などもこの能力に含まれます。
ネットワークリテラシー
インターネットや社内ネットワークの仕組みを理解し、安全かつ適切に利用する能力です。公衆Wi-Fiのリスクを把握したり、VPN(※)の概念を理解したり、メールやチャットツールをマナーを守って適切に使用したりする能力が含まれます。SNS上での情報発信・受信に関するリスク判断もこの分類に属します。
(※)仮想的に専用の通信回路を作り、安全に通信を行う技術
AIリテラシーの定義
AIリテラシーとは、AI(人工知能)の仕組みや特性を正しく理解したうえで、業務において適切に活用・判断する能力のことです。
AIの普及が急速に進む現代では、特定の技術職だけでなくすべてのビジネスパーソンに求められるスキルとなりつつあります。ビジネスにおける生成AIの活用例としては、AIを使った議事録作成や市場リサーチに加えて、AIチャットボットなど効率化ツールの導入などが挙げられます。
AIリテラシーの構成要素
AIリテラシーは比較的新しい概念であるため、構成要素は様々です。ここでは生成AIを業務に活用する際に必要とされるリテラシーについて解説します。
「AIに何ができて、何ができないか」を理解する力
AIの得意領域と不得意領域を正しく把握し、「AIに任せるべき業務」と「人間が判断すべき業務」を適切に切り分ける力です。
AIに任せるべき業務の例としては、データ集計や会議の文字起こし、複数言語への翻訳などがあります。一方で、人間が判断すべき業務の例としては、クレーム対応や機密情報を扱う手続き、法令や社内規定に照らした最終判断があります。
規則的な仕事や翻訳など複数言語を扱う仕事はAIが、感情に寄り添ったり物事の最終判断を下したりする仕事は人間が向いていると言えます。
AIが出力した情報を批判的に吟味する力
AIの出力をそのまま正しい情報として受け取らず、一次情報を確認・検証する力です。生成AIは一見もっともらしいが事実と異なる情報を出力する「ハルシネーション」を起こす可能性があります。そのため、社外への情報発信や意思決定の根拠にAIを使用する場合は、とりわけ慎重な事実確認が不可欠です。
AIが生成したコンテンツに含まれる著作権・個人情報・機密情報に関する問題を見抜く観点もこの力に含まれます。
AIツールを業務プロセスに組み込んで活用する力
各種AIツールに対して、目的に応じた的確な指示文(プロンプト)を作成し、効果的なアウトプットを引き出す力です。議事録の自動生成やメール文案の作成、マニュアル作成など、自分の業務のどの工程にAIを組み込めるかを考え、試行錯誤できる力が求められます。
個人情報や社外秘情報をAIツールに入力しない、会社が定めたAI利用ポリシーに従って使用するなど、安全な活用ルールを理解・遵守する姿勢もこの構成要素に含まれます。
ITリテラシーとAIリテラシーの違い
ITリテラシーがデジタルツール全般を使いこなすための「土台」であるのに対し、AIリテラシーはその土台の上に構築される「応用」と位置づけられます。
そのため、ITリテラシーが不十分なままAIツールを導入すると、土台が整っていないため操作ミスや情報漏洩につながる恐れがあります。ITの基礎を固めながら、段階的にAIリテラシーを積み上げていくという順番が重要です。
2. ITリテラシー・AIリテラシーが求められる背景
ITリテラシー・AIリテラシーが重視されるようになった背景には、日本企業を取り巻くデジタル化の潮流と、DX推進における人材面の課題があります。
DX推進・業務効率化の潮流
経済産業省がDXの現状や課題を整理するため、2018年に発表した「DXレポート」(※)以降、日本企業のDX推進は国家的な課題として位置づけられています。
(※)出典:https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/dx/20180907_02.pdf
その背景には、クラウドサービスの普及や業務システムのデジタル化、生成AIの実務への導入が急速に進んでいる時代の流れがあります。こうした状況において、社員一人ひとりのITリテラシー・AIリテラシーの獲得は、組織全体のDX推進スピードを左右する重要な要素です。
一方で、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「デジタル・トランスフォーメーション推進人材の機能と役割のあり方に関する調査」(※)によるとDX推進の障壁として「社員のITリテラシー不足」を挙げる企業が26.1%に上っており、ITリテラシー・AIリテラシーの獲得が十分に進んでいるとは言い難い状況です。
(※)出典:https://www.ipa.go.jp/jinzai/chousa/qv6pgp000000buyg-att/000073700.pdf
ITリテラシー・AIリテラシーが低い場合のリスク
ここからは、社員のITリテラシー・AIリテラシーが低い場合に起こり得るリスクについて見ていきましょう。
①情報漏洩・セキュリティインシデント
USBメモリの紛失・置き忘れ、メールの誤送信、クラウドストレージの共有設定ミスなど、ITリテラシーが不十分な社員の操作ミスが情報漏洩の原因となるケースは多くあります。個人情報保護法違反や取引先との契約違反につながるケースもあり、企業の信頼失墜や損害賠償に直結する深刻なリスクです。
②サイバー攻撃
フィッシング詐欺メールの見分け方を知らない社員が不審なリンクをクリックしてマルウェア(PCに被害をもたらすことを目的とした悪意のあるソフトウェア)に感染したり、ランサムウェア(感染したPCのシステムを暗号化し、復元の見返りに身代金を要求するマルウェアの一種)によって業務データが暗号化されたりといったリスクが上がります。
③SNS炎上・デジタルタトゥー
業務上知り得た顧客情報や社内情報を個人のSNSアカウントに投稿するなどのSNSに起因した炎上は、SNS上での情報の受発信のリスクを判断するネットワークリテラシーの欠如が原因です。一度発生すると検索結果に長期間残り続け(デジタルタトゥー)、採用・ブランドイメージに深刻なダメージを与える可能性があります。
④業務の非効率化
ExcelやWordなどのOfficeツールを使いこなせない、社内システムの操作に時間がかかる、デジタルツールで解決できる作業を手作業で行い続けるといった状況は、個人の生産性低下にとどまらず、チーム全体の業務効率を損ないます。
また、ITリテラシーの高い社員と低い社員の間でデジタルデバイド(ITを使いこなす能力の格差)が広がると、業務分担に偏りが生じやすくなります。そのため、業務が非効率になるだけでなく、社員間で不公平感が生まれたりモチベーション維持が難しくなったりするリスクがあります。
⑤AIの誤用・過信によるリスク
生成AIの特性を理解しないまま業務に活用すると、AIがもっともらしく誤った情報を生成する「ハルシネーション」に気づかずに社外へ誤情報を発信してしまうリスクがあります。
また、顧客情報や社外秘の情報をAIツールに入力することによる情報漏洩、AIが生成したコンテンツの著作権上の問題なども、AIリテラシーが不十分な社員が起こしやすいインシデントとして挙げられます。
3. ITリテラシー・AIリテラシーを身につける方法
ITリテラシー・AIリテラシーを組織全体に定着させるには、自己学習から外部研修まで様々な方法があり、自社の状況や目的に応じた選択が重要です。
①自己学習
書籍や動画講座、オンライン学習プラットフォームを活用した自己学習は、社員が自分のペースでITやAIに関する知識を習得できる手軽な方法として広く普及しています。例えば、UdemyやCourseraなどの動画学習サービスでは、PC操作の基礎から生成AIの実務での活用法まで、幅広い講座が低コストで受講できることがメリットです。
個人のペースで学べる自己学習はスキマ時間を活用した学習に適している一方で、学習の進捗管理や理解度の確認が本人任せになりやすく、忙しさを理由に中断されるリスクがあります。そのため、自己学習を組織的に推進し、社員に確実にITリテラシー・AIリテラシーを身に着けさせるには、学習目標の設定や進捗の可視化など、人事・管理者側のサポートが欠かせません。資格・検定の取得を義務付けたり、インセンティブを用意したりするといった動機付けも有効です。
②OJT・現場での実践
実際の業務の中でITツールやAIツールを使いながらスキルを習得するOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)は、学んだ知識をすぐに実践で確かめることができるため、定着しやすい方法です。例えば、新しいITシステムを導入する際やAIの活用により業務フローが変更になる際に、上司や先輩社員がシステムを実際に使いながら教える方法がこれにあたります。
現場での実践により、「わかったつもり」だけではなく、「実際に使える」状態に導きやすいというメリットがあります。一方で、指導する社員のITリテラシーや指導スキルに依存するため、誰に教わるかによって習得内容や理解の深度にばらつきが生じやすいというリスクがあります。OJTを機能させるには、指導者側のスキルの標準化や底上げが不可欠です。
③社内勉強会・ナレッジ共有
ITリテラシーやAI活用に関心の高い社員が中心となり、社内勉強会や事例共有会を定期的に開催する方法です。外部コストをかけずに組織全体のリテラシーを底上げできる点が強みです。また、「自部署でこのAIツールを使ったら業務時間が短縮できた」「このフィッシングメールの手口が最近増えている」といった現場の生きた情報を横展開できるため、他の人も実践しやすい手法でもあります。
ただし、主導する社員に負荷がかかるため、継続的に運営するには、担当者の負担が属人化しないように運営ルールや開催頻度を組織として明確に定めておくことが重要です。人事部門や管理者が社内勉強会の開催やナレッジの共有を制度として位置づけ、バックアップする体制があると定着しやすいでしょう。
④外部研修の活用
外部の研修会社が提供する体系的なカリキュラムを活用し、ITリテラシー・AIリテラシーの基礎から実践スキルまでを社員に効率よく習得させる方法です。自社でカリキュラムを設計・運営するリソースが限られている企業にとっては、特に有効な選択肢となります。
また、職種・階層・スキルレベルに応じたカリキュラム設計が可能な研修会社を選ぶことで、社員のレベルに応じた研修が可能です。セゾンパーソナルプラスではITシステム・ツールの基礎から実務での活用まで幅広くカバーするカリキュラムを提供しているため、外部研修の選択肢の一つとしておすすめです。
こうした外部研修は、OJTや社内勉強会に比べると金銭的なコストがかかるというデメリットがあります。しかし、デジタル分野の社員教育にかかる費用を最大75%助成する厚生労働省の人材開発支援助成金(※)などの制度があるため、こうした国の支援を活用することで大幅なコスト削減も可能です。
(※)https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001085512.pdf
4. 外部研修を有効活用して社員のITリテラシー・AIリテラシーを向上させよう
ITリテラシーとは情報技術を適切に理解・活用する能力の総称であり、情報基礎リテラシー・コンピューターリテラシー・ネットワークリテラシーの3つで構成されます。AIリテラシーはその土台の上に構築される応用スキルであり、両者を一体的に育成することが重要です。ITリテラシー・AIリテラシーの習得方法には自己学習・OJT・社内勉強会・外部研修などがありますが、体系的なカリキュラムで短期間で確実なスキル定着を図るには、外部研修の活用が特に効果的な選択肢と言えます。
セゾンパーソナルプラスでは、ITシステム・ツールの基礎から実務での活用まで幅広くカバーする職種別研修を提供しています。自社のITリテラシー・AIリテラシー教育に課題をお持ちの方は、ぜひご相談ください。
企業研修プログラム
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