HOME 人材育成コラム アサーティブコミュニケーションとは?ビジネスでの活用シーンや会話の具体例を解説!

アサーティブコミュニケーションとは?ビジネスでの活用シーンや会話の具体例を解説!

アサーティブコミュニケーションとは、自分と相手を尊重しつつも、意見を率直に伝えるコミュニケーションを指します。人間関係を円滑に保つ効果が高いため、ビジネスシーンでは欠かせないコミュニケーション手法です。積極的に取り入れたいアサーティブコミュニケーションですが、いまいち理解できていない、身につけ方が分からない方も多いのではないでしょうか。本記事では、アサーティブコミュニケーションの基礎的な内容をまとめたうえで、社内外の交渉にも役立つ会話の進め方を解説します。具体的な会話事例をたっぷりと紹介しますので、ぜひご参考ください。。

1.アサーティブコミュニケーションとは

アサーティブコミュニケーションとは

アサーティブコミュニケーションとは、意見や感情を率直に表現し、自分と相手双方を尊重するコミュニケーションスタイルを指します。アサーティブコミュニケーションが身につくと、誤解や対立を避け、役職や年齢に関わらず対等な立場でコミュニケーションを取れるようになります。そのため、アサーティブコミュニケーションが浸透している職場では人間関係の課題を抱えにくい傾向があります。

2.アサーティブではないコミュニケーションとは

アサーティブコミュニケーションを深く理解するためには、アサーティブではないコミュニケーションを把握することが大切です。アサーティブではないコミュニケーションとして、下記3つのタイプを紹介します。

  • 一方的に主張する攻撃的タイプ
  • 意見を主張しない受け身タイプ
  • 回りくどく表現する作為タイプ

一方的に主張する攻撃的タイプ

攻撃的タイプの人は、自分の意見や主張を強く押し通します。相手の権利や感情を無視するため、対立を招きやすく、自己中心的な印象を与えがちです。上司が攻撃的タイプだと、部下のメンタルヘルスが悪化する危険性が高くなります。

 

攻撃的タイプがアサーティブコミュニケーションを身につけると、周囲の人々に配慮しながら質の高いリーダーシップを発揮できるようになります。統率力に長けているため、目標達成やプロジェクト推進に貢献する人材になるでしょう。

意見を主張しない受け身タイプ

受け身タイプの人は、自分の意見や感情を表現せず、相手に合わせるコミュニケーションスタイルをとります。一見相手を尊重しているように見えますが、自分の希望や意見が通らないため、不満やストレスを抱えやすい点が特徴です。攻撃的タイプとは反対に、主体性のなさが評価を下げる可能性があります。

 

受け身タイプがアサーティブコミュニケーションを身につけると、人間関係を円滑に回す潤滑油のような役割を担えるようになります。傾聴力にも優れているため、管理職に登用された際には、部下やメンバーの意見をうまく引き出します。穏やかなリーダーとして、チーム全体の生産性を向上させられるようになるでしょう。

回りくどく表現する作為タイプ

作為タイプは、率直な言葉ではなく、遠まわしな表現やネガティブな態度で自分の感情・意見を主張します。表立った対立は避けられるものの、周囲に無用な気遣いを強いてしまい、「面倒で扱いが難しい人」との見方をされてしまう可能性があります。

 

作為タイプは、ちょっとした表情や言動から、相手の気持ちを読み取る力に長けています。アサーティブコミュニケーションを身につけると、複雑な人間関係や気難しい顧客にも柔和に対応し、衝突を避けながら仕事を進められるようになるでしょう。

3.アサーティブコミュニケーションの4原則

アサーティブコミュニケーションとは

アサーティブコミュニケーションを実現するためには、下記4つの原則について理解しておくことが大切です。順を追って解説します。

  • 誠実
  • 率直
  • 対等
  • 自己責任

誠実

アサーティブコミュニケーションにおける「誠実」とは、相手へ配慮しつつも自分の意見や気持ちを偽らずに表現することを指します。自分の気持ちに誠実になると、相手の意見や感情も尊重できるようになります。

 

たとえば、会議中に相手と意見が異なった際に、感情的に反論したり自分の意見を押し殺したりするのは誠実なコミュニケーションとはいえません。相手の意見を受け止めたうえで、自分の考えを述べられると良いでしょう。誠実なコミュニケーションを身につけると、相手からの信頼を得ることができ、長期的に良好な人間関係を築けるようになります。

率直

アサーティブコミュニケーションにおける「率直」とは、自分の意見や気持ちを包み隠さず分かりやすく伝えることを指します。率直なコミュニケーションでは、主語を「私」にして意見を述べます。相手を煙に巻くような回りくどい表現や、自分の意見を第3者の考えとして伝えることは、率直なコミュニケーションとはいえません。

 

たとえば、締め切りまでに対応するのが難しい仕事を頼まれた場合、「間に合わないかもしれません」のような曖昧な伝え方をしないようにします。「今のスケジュールでは対応が難しいですが、来週まで締め切りを延ばしていただければ対応できます」のように、明確に伝えられるとよいでしょう。

対等

アサーティブコミュニケーションにおける「対等」とは、立場や年齢を問わず、相手と同じ目線でコミュニケーションをとることを指します。対等なコミュニケーションでは、自分の立場や年齢が上だからといって、高圧的な接し方をしないようにします。自分が下の立場の場合でも、必要以上に卑屈になったりへりくだったりしないコミュニケーションを目指しましょう。

 

たとえば部下とミーティングをする際、上司の立場にあるからといって自分の意見を押しつけないようにします。相手の話に耳を傾けず、ミーティングの流れをコントロールしようとすることは対等なコミュニケーションとはいえません。自分が部下や後輩の立場にある場合も、遠慮したり忖度しすぎたりすることなく、考えや意見を述べるようにします。

自己責任

アサーティブコミュニケーションでは、自分の言動に責任を持つことも大切です。相手への責任転嫁や押し付けをせず、自分の意思で主体的に発言します。責任を取りたくない気持ちが強くなると発言を控えがちな方も多いかもしれません。しかし、会議のような意見を求められる場面で何も述べないことは、かえって無責任であると見なされます。

 

たとえばミスを上司に報告する際、ごまかしたり外的要因のせいにしたりせず、まずは率直に自分の仕事の仕方に問題があったことを認めます。そのうえで改善案のフィードバックを求めるなど、上司に依頼したいことを端的に述べましょう。責任の所在を明確にしたコミュニケーションは、相手との信頼関係を強め、適切なフォローや手助けを得るための有効手段となります。

4.アサーティブコミュニケーションの活用法と具体例

アサーティブコミュニケーションとは

アサーティブコミュニケーションの活用方法を、管理職と若手社員の2パターンで解説します。それぞれ会話の具体例も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

管理職

管理職がアサーティブコミュニケーションを身につけると、チームの生産性向上や人間関係の改善など、さまざまな良い効果を得られます。特に部下との関係においては、パワハラやメンタルヘルス悪化の防止に役立つでしょう。

活用方法

自分が統括するチームメンバーとのコミュニケーションでは、アサーティブコミュニケーションを積極的に活用しましょう。アサーティブなフィードバックを行うことで、メンバーの成長を促すことができます。

たとえばメンバーがミスをした際、感情的に叱咤したり責任を押しつけたりすることはアサーティブなコミュニケーションとはいえません。ミスをしてしまった原因をよく聞き取り、相手の考えを引き出しながらも今後の改善に繫がるフィードバックを行いましょう。

アサーティブなフィードバックを繰り返すと、部下との信頼関係を築けます。上司としての意見や見解も率直に伝えられるようになるでしょう。

会話の具体例

部下からミスの報告を受けた際の、アサーティブな会話例を紹介します。

部下「顧客に送付する資料を間違えて送ってしまいました」

管理職「どうして間違えて送ってしまったと思いますか?」

部下「パソコン上で資料が整理できておらず、どのファイルが最新のものか分からなくなってしまいました」

管理職「これからは最新のファイルのみ残すようにしてみましょう。もしまた分からなくなったら、送付する前に相談してくださいね」

ただミスを咎めるのではなく、部下の考えを聞き出し、分かりやすくフィードバックを伝えている点がポイントです。サポートする姿勢も見せることで、部下の成長を促すことができます。

若手社員

若手社員のような経験が少ない立場でも、アサーティブコミュニケーションを身につければ、自分の意見を周囲に伝えられるようになります。成果を出しやすくなる、上司や先輩から信頼されやすくなるなどのメリットがあり、仕事を進めるうえでの自信に繋がるでしょう。

活用方法

上司へ報連相を行う際にアサーティブコミュニケーションを用いれば、進捗や課題を客観的な事実に基づいて伝えることができます。その結果、適切な指示やアドバイスを得られるようになるでしょう。

 

経験年数が浅いと、ミーティングや会議でうまく発言できないこともあります。自分の意見がない、考えがまとめられないという場合は、分からないことを積極的に質問してみるのもおすすめです。率直に疑問点をぶつけることで、チームメンバーにとっても改めて考え直すきっかけになります。今まで見落とされていた抜け漏れ発見に繫がる可能性もあるでしょう。

会話の具体例

上司にミスを報告する際の、アサーティブな会話例を紹介します。

 

部下「顧客に誤ったデータが記載されている資料を送ってしまい、ご迷惑をかけてしまいました」

上司「ミスの原因はどう考えていますか?」

部下「資料整理を怠っていたためです。今後は終業前に資料を整理し、最新のものだけ残すようにしたいと思います」

上司「分かりました。ファイル名に日付を入れておくと、より管理しやすくなりますよ」

部下「ありがとうございます。今後は日付を入れるようにします」

ミスをすると落ち込んでしまいがちですが、感情的になったり責任転嫁したりすることは、アサーティブなコミュニケーションとはいえません。事実を率直に報告し自分なりの改善策も伝えれば、上司との信頼関係はかえって強まるでしょう。上司のアドバイスを素直に受け入れることも、誠実で前向きな姿勢を示すのに有効です。

5.アサーティブコミュニケーションをトレーニングできるDESC法

アサーティブコミュニケーションとは

アサーティブコミュニケーションは「DESC法」というトレーニングで身につけることが可能です。DESC法とは、下記の単語の頭文字をとって名付けられたトレーニング方法です。

  • Describe:事実を客観的に描写する
  • Explain:自分の気持ちや意見を表現する
  • Specify:解決策や求めることを提案する
  • Choose:次の行動を選択する

Describe→Explain→Specify→Chooseの順で会話を進めることで、コミュニケーションを円滑に進められるようになります。ひとつずつ解説します。

Describe:事実を客観的に描写する

DESC法のDは「Describe」の頭文字で、現状を客観的かつ具体的に説明することを指します。感情的な表現や主観的な考えの表明を避け、事実のみを伝えるようにします。

 

具体例として、ミスを上司に報告する際の事例を紹介します。

【OK例】:顧客に誤ったデータが記載されている資料を送ってしまいました。今後は資料整理を徹底し、再発防止に努めます。

【NG例】:顧客に誤ったデータが記載されている資料を送ってしまい、とても落ち込んでいます。また同じ失敗を繰り返さないか、心配です。

NG例の報告は、主観的な感情の表現が中心となっています。NG例の場合、上司は再発防止策が講じられているのか、そもそも講じるつもりがあるのかが分かりません。事実を整理して報告することで、上司を安心させ、信頼を得やすくなるでしょう。

Explain:自分の気持ちや意見を表現する

DESC法のEは「Explain」の頭文字で、自分自身を主語とし、意見や考えを分かりやすく伝えることを指します。主語を第三者としたり回りくどい表現をしたりしないため、誤解を生まないコミュニケーションが可能です。

具体例として、業務量が多すぎると感じている際の、上司への伝え方を紹介します。

【OK例】:現在5社の顧客を担当しており、私のスキルでは十分な対応をするのが難しいと感じています。

【NG例】:最近は忙しすぎるような気がします。同僚の田中さんにも、仕事を減らした方が良いと言われました。

NG例の場合、主張があいまいかつ第3者を引き合いに出しているため、本人がどう思っているのかが明確に伝わりません。上司も今後の対応を講じづらくなるでしょう。

Specify:解決策や求めることを提案する

DESC法のSは「Specify」の頭文字で、要望を具体的に伝えることを指します。「どうにかしてほしい」のようなあいまいな表現を避け、相手に何をして欲しいのかを明確に伝えます。

 

具体例として、業務量を減らして欲しいと上司に依頼する際の伝え方を紹介します。

【OK例】:担当を5社から3社に減らしていただくことは可能でしょうか?

【NG例】:担当が多すぎて大変なので、対応していただきたいです。

数値で具体的に依頼できているOK例に対し、NG例は望む対応を明確にできていません。仕事量を調整してもらえたとしても、希望通りにはならない可能性が高くなります。

Choose:次の行動を選択する

DESC法のCは「Choose」の頭文字で、提案に対する相手の反応に基づいて、次の行動を提示もしくは選択することを指します。提案が受け入れられないことを想定し、代替案を提示することも「Choose」に含まれます。

 

具体例として、業務量を上司と交渉する際の伝え方を紹介します。

【OK例】:担当を3社に減らすことが難しければ、資料作成の部分だけでも、どなたかにサポートしていただきたいです。

【NG例】:とにかく今は忙しすぎるので、仕事を減らしてください。

OK例では具体的な代替案を提示できていますが、NG例では自分の主張を頑なに通そうとしています。感情的に主張してしまっており、アサーティブなコミュニケーションとはいえません。

6.DESC法の4ステップで円滑なコミュニケーションが可能になる

Describe→Explain→Specify→Chooseの順に会話を進めれば、穏やかでありながらも伝わりやすいコミュニケーションが可能です。最後に、ここまで紹介したOK例とNG例をまとめて紹介します。

 

OK例

【D】顧客に誤ったデータが記載されている資料を送ってしまいました。今後は資料整理を徹底し、再発防止に努めます。

【E】現在5社の顧客を担当しており、私のスキルでは十分な対応をするのが難しいと感じています。

【S】担当を5社から3社に減らしていただくことは可能でしょうか?

【C】担当を3社に減らすことが難しければ、資料作成の部分だけでも、どなたかにサポートしていただきたいです。

 

NG例

【D】顧客に誤ったデータが記載されている資料を送ってしまい、とても落ち込んでいます。また同じ失敗を繰り返さないか、心配です。

【E】最近は忙しすぎるような気がします。同僚の田中さんにも、仕事を減らした方が良いと言われました。

【S】担当が多すぎて大変なので、対応していただきたいです。

【C】とにかく今は忙しすぎるので、仕事を減らしてください。

NG例は、感情的かつ一方的な主張になってしまっています。具体的な要望が伝わっておらず、上司側も対応しづらいと感じるでしょう。同僚の名前を引き合いに出している点も、好印象ではありません。

一方OK例は、事実と感じていることを率直かつ明確に主張できています。代替案を提示できているため、上司側の事情にも配慮できているといえるでしょう。責任の所在を明確にし、上司と対等な立場でコミュニケーションがとれています。

7.アサーティブコミュニケーションを活用して職場の人間関係を円滑にしよう!

アサーティブコミュニケーションを身につければ、職場の人間関係を円滑に保ちながらも、意見や感情を率直に伝えられるようになります。DESC法の活用によって、社内外の交渉ごとも成功する確率が高まるでしょう。

しかし、日々の業務のなかではアサーティブコミュニケーションを訓練したり指導したりする余裕がない方も多いのではないでしょうか。そのような場合は、コミュニケーションの学びと訓練に特化した研修を活用するのがおすすめです。

 

セゾンパーソナルプラスでは新入社員から管理職まで、役職やフェーズに合わせたコミュニケーション研修を用意しています。コミュニケーション力向上を効率よく進めたい方は、ぜひお問い合わせください。

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