2026.01.27
コールセンターでAI活用を成功させるには?鍵となるのは人材育成の視点!
コールセンターは企業と顧客の最初の接点であり、対応の良し悪しは企業のブランドイメージに直結します。その一方で、コールセンター業界は人手不足と業務の複雑化という大きな課題を抱えています。本記事では、AIの活用によってコールセンターが抱える課題を解決し、業務効率と顧客満足度を同時に上げるための方法を解説します。現場の実態に即した導入ステップから人材育成の視点まで、実践的な情報をお届けします。
コールセンターは企業と顧客の最初の接点であり、対応の良し悪しは企業のブランドイメージに直結します。その一方で、コールセンター業界は人手不足と業務の複雑化という大きな課題を抱えています。
本記事では、AIの活用によってコールセンターが抱える課題を解決し、業務効率と顧客満足度を同時に上げるための方法を解説します。現場の実態に即した導入ステップから人材育成の視点まで、実践的な情報をお届けします。
1. なぜ今、コールセンターでAI活用が重要なのか?
まずはコールセンターを取り巻く現状を整理しましょう。
コールセンターは企業と顧客の最初の接点
コールセンターは、企業と顧客の最初の接点であり、対応の質が企業への信頼や満足度を大きく左右します。一度の悪い体験が顧客離れにつながるリスクも高いからこそ、継続して顧客を満足させる体験を提供し続けなければなりません。
企業のブランドイメージを守り、顧客との信頼関係を築く最前線として、コールセンターの果たす役割は極めて大きいのです。
コールセンターが直面する深刻な課題
しかし、その重要性とは裏腹に、多くのコールセンターが深刻な課題に直面しています。
多くのコールセンターが抱える最大の悩みは、慢性的な人手不足です。オペレーターは離職率が高く採用してもなかなか定着しないため、常に人員不足の状態が続いています。
さらに追い打ちをかけるのが、顧客対応の複雑化です。かつては電話が中心だった問い合わせチャネルは、今やメール、チャット、SNSなど多岐にわたり、それぞれに対応の手間が増えています。加えて、商品やサービス自体が複雑化しているため、オペレーターが習得すべき知識量は年々増加しています。その一方で、様々なサービスに触れる機会が増えた顧客の期待値は上がっており、より迅速で的確な対応が求められています。
AIがもたらす可能性
こうした状況を打開する鍵となるのがAI活用です。AIを導入することで、通話内容の文字起こしや定型質問への回答など、人が手をかけなくてもよい作業を削減でき、業務を効率化できます。浮いた時間でオペレーターはより付加価値の高い業務に集中でき、業務の手間を削減しながら顧客満足度を向上させることができるのです。
つまり、AIをうまく活用することでコールセンターが抱える「人手不足」と「業務の複雑化」という2つの課題に効果的に対応できます。
2.コールセンターで活躍する主要なAIの種類
コールセンターで活用できるAIには、大きく分けて5つの種類があります。それぞれの特徴を理解して、自社の課題に合ったものを選ぶことが重要です。
① 音声認識AI
<できること>
■ 通話内容の自動文字起こし(リアルタイム・録音後)
■ 通話サマリーの自動作成
<できないこと>
■ 微妙なニュアンスや感情の完全な理解
■ 文脈や背景を踏まえた意図の正確な読み取り
■ 方言や専門用語が多い場合の高精度な認識
② 応対支援AI(エージェントアシスト)
<できること>
■ 会話の流れに応じてFAQや対応台本を自動で提案
■ NGワードの使用を検知して注意喚起
■ 顧客の感情変化を検知してアラートを表示
<できないこと>
■ 言葉になっていない顧客の真意や感情の深い部分を読み取ること
■ 個別の事情や複雑な背景を考慮した柔軟な判断
■ イレギュラーなケースへの臨機応変な対応
③ 自動応答AI(チャットボット/音声ボット)
<できること>
■ FAQ対応や定型的な問い合わせの自動処理
■ 24時間365日の無人対応
■ 簡単な手続きや情報提供
■ オペレーターへの取り次ぎ前の一次対応
<できないこと>
■ 複雑な相談や込み入った案件への対応
■ クレーム対応など感情面のケアが必要な応対
■ マニュアルにない柔軟な判断や例外対応
④ 予測AI(呼量・シフト最適化)
<できること>
■ 過去のデータから電話が集中する時間帯を予測
■ 予測に応じた最適な要員配置の提案
■ 繁閑に応じた効率的なシフト作成
<できないこと>
■ イレギュラーな事件や炎上による急激な呼量増加の予測
■ 突発的な社会情勢の変化への対応
⑤ 品質評価AI
<できること>
■ 全通話の自動チェックと分析
■ 応対品質のスコア化
■ トークスクリプトを遵守しているかの確認
■ 通話ログに基づいた改善ポイントの提案
<できないこと>
■ オペレーターごとの背景や特殊な状況を踏まえた柔軟な評価
■ 感情面の配慮や顧客との関係構築の質の判断
■ マニュアルにない創意工夫の評価
3.AIをうまく活用できない原因は?
せっかくAIを導入しても、思うように活用できないケースは少なくありません。ここからは失敗のよくある原因を見ていきましょう。
現場の課題が可視化できていない
コールセンターの課題は様々です。応答までの待ち時間に問題があるのか、応答内容の質に問題があるのか、応答後の処理に問題があるのか。どの工程に課題があるか把握せずにAIを導入しても、「導入したけど使われていない」という状態になってしまいます。
テスト運用を経ずに本導入してしまう
いきなりシステムを大きく変更すると、現場の運用が追いつかず、予期せぬ不具合やトラブルが頻発してかえって業務効率が下がる結果となります。本格導入の前にテスト運用を行い、必要なフローや設定を洗い出すことが不可欠です。
現場のオペレーターが使いこなせない
いくら優れたシステムを導入しても、現場が使いこなせなければ意味がありません。誰でも使えるような、わかりやすいマニュアルや現場での実践を重視した研修が必要です。この点を軽視すると、せっかくのツールが宝の持ち腐れになってしまいます。
4.AI活用を成功させるための4つのステップ
せっかく導入したAIを確実に成果につなげるためには、どうすれば良いのでしょうか。次の4つのステップを着実に実行することが重要です。
Step1 : 現場の課題を可視化する
まずは現状を正確に把握することから始めましょう。電話を取るまでの待ち時間、通話時間、後処理時間などを定量的に測定します。同時に、オペレーターや管理者へのヒアリングで定性的な課題も把握し、ボトルネックがどこにあるのかを明確にします。
重要なのは、すべての課題を一度に解決しようとしないこと。最も効果が見込める領域や緊急度の高い課題から着手しましょう。
Step2 : 目的に応じたAIツールを選定する
可視化した課題に対して、AIの強み・弱みをもとにどのAIが最適かを検討します。複数のベンダーを比較して、自社の規模や予算に見合ったツールを選択しましょう。
その際に確認すべきポイントは2つあります。1つ目は自社の業務フローに合わせた調整が可能かどうか、2つ目は既存システムとの連携がスムーズかどうかです。これらを事前にチェックすることで、導入後のトラブルを防ぐことができます。
Step3 : テスト運用で効果を確認し、課題点を洗い出す
特定の部門や時間帯に限定して試験導入し、実際の業務での使用感や効果を測定します。オペレーターからの率直な意見を集めて、想定外の問題点や改善ポイントを発見することが大切です。
この段階では必要に応じてツールの設定や運用方法を調整するとともに、誰が見ても使いこなせるようにマニュアルを作成しましょう。ここで丁寧に準備することが、本導入の成否を分けます。
Step4 : 本導入後、定着へ向けて現場をサポートする
テスト運用で得た知見を活かし、計画的にAIの展開範囲を拡大させます。各段階で効果測定とフィードバックの収集を継続し、想定外の問題が発生すれば都度運用をブラッシュアップしていきます。
また、導入後に研修を繰り返し実施し、オペレーターごとの習熟度のバラつきをなくすことも重要です。継続的なサポートがあってこそ、AIは現場に定着します。セゾンパーソナルプラスではコールセンター固有の課題に合わせたオーダーメイドの研修を提供しており、AIの活用段階に応じた最適なプランの提案が可能です。
5.「人材育成」の視点が、AIの効果を最大化する
AI活用の決め手は“オペレーターの育て方”
どんなに優れたAIツールを導入しても、使いこなせなければ宝の持ち腐れです。また、AIがコールセンターの業務を100%代替することは不可能であり、臨機応変な対応や感情面のケアなどオペレーターにしかできない業務は残ります。AIを使いこなすとともに、AIにできないことを見極めて正しく対応できるオペレーターを育てることが不可欠です。
AI時代のオペレーターに必要なスキル
AIと協働しながら人間にしかできない価値を提供するために、これからの時代にオペレーターに必要なスキルは何でしょうか?
AIリテラシー
まず欠かせないのが、AIリテラシーです。これは単にAIツールを操作できるという意味ではありません。AIの仕組みや得意・不得意を正しく理解し、AIが提案する情報を鵜呑みにせず、適切に判断する力のことです。
たとえば、AIが顧客の問い合わせに対して「このFAQが該当します」と提案してきたとします。しかし顧客の話をよく聞くと、実は別の問題を抱えていることがあります。AIの提案は参考にしつつも、最終的には自分の判断で対応を決める姿勢が重要です。AIを盲信せず、あくまで支援ツールとして使いこなす力が求められます。
AIが拾いきれない感情・意図を読み取る力
AIの弱点を補うのが、人間ならではの感情や意図を読み取る力です。声のトーンや話し方から顧客の心理状態を把握し、言葉の裏にある本当の困りごとを察知する力が必要です。
顧客が「大丈夫です」と言っていても、声のトーンが沈んでいたり、話し方に焦りが感じられたりすることがあります。AIはテキストや音声データを分析できますが、こうした微妙なニュアンスまで完全に読み取ることはできません。「言葉にできない不安を抱えているのではないか」と察する力は、人間のオペレーターにしか持ち得ない強みです。
人が対応すべき場面を見極める力
そして最も重要なのが、人が対応すべき場面を見極める力です。定型的な問い合わせはAIに任せても問題ありませんが、クレームや深刻な相談、イレギュラーな状況など、人の判断と共感が必要な場面は必ずあります。
「ここは自分が丁寧に対応すべきだ」と判断できる感覚を養うことが大切であり、この見極めができるオペレーターこそAI活用の肝になります。
AI時代にSV・管理者に求められる役割
オペレーターがAIを使いこなすためには、管理者側のサポートが欠かせません。AI導入によって、SVや管理者には新しい役割が求められるようになります。
新しい業務フローへの順応のサポート
まず重要なのが、オペレーターがスムーズに新しい業務フローに移行できる仕組み作りです。AI導入は現場にとって大きな変化です。「これまでのやり方が変わってしまう」という不安や抵抗感を抱くオペレーターも少なくありません。
管理者は、こうしたオペレーターの心情に寄り添った丁寧なフォローを心がける必要があります。たとえば、導入初期には個別の質問に答える時間を多めに確保したり、つまずきやすいポイントを事前に共有したりするなど、きめ細やかなサポートが求められます。「慣れるまで時間がかかっても大丈夫」というメッセージを伝えることで、オペレーターは安心して新しい業務フローに取り組めるようになります。
データに基づいたオペレーターの育成
AI導入の大きなメリットが、データに基づいた客観的な評価ができることです。AIによる評価を活用することで、個々のオペレーターの強み・弱みを正確に把握し、具体的なフィードバックを行うことができます。
従来は管理者が全通話を聞いてチェックすることは物理的に不可能でしたが、AIなら全通話を分析できます。「顧客の話を聞く姿勢は素晴らしいが、クロージングのタイミングが少し遅い傾向がある」といった、データに裏付けられた具体的な指摘ができるようになります。
ただし、ここで忘れてはならないのが、AIにはできない「感情」や「想い」に寄り添った指導です。「数字を改善しましょう」と伝えるだけでなく、「どうすればもっと良い応答ができるようになるか」を一緒に考える姿勢が大切です。
AIが分析した通話データの活用
通話ログを元にしたAIの分析を使えば、オペレーターの全体的な傾向を把握し、改善ポイントを明確にすることもできます。たとえば「特定の商品について、多くのオペレーターが説明に時間をかけすぎている」といった課題が見えてくれば、それを反映して研修を実施するなどの対策が取れます。
全体の改善ポイントをオペレーターの育成計画に反映させることで、効果的に応対品質の底上げを図れるのです。
6. 効率化から定着率アップまでーAI活用で生まれる効果
AIを上手く活用できると、業務の効率化はもちろん、オペレーターの働きやすさや成長にも良い影響があります。ここでは実際にどのような効果が期待できるのかを見ていきましょう。
工数や時間が削減できる
最も直接的な効果が、業務にかかる時間の削減です。通話内容の文字起こしやサマリー作成といった通話後の後処理作業は、これまでオペレーターが手作業で行っていました。この作業が自動化されることで、オペレーター1人あたりの対応件数を大幅に増やすことができます。
さらにAIの分析でチェック業務が効率化できるため、オペレーターだけでなく管理者の手間も削減できます。これまで一部の通話しか確認できなかった管理者が、より多くの通話をチェックできるようになる他、浮いた時間をオペレーターへの指導や育成に充てることも可能です。
オペレーターのレベルが平準化する
コールセンターでは「対応するオペレーターによって、サービスの質が違う」という問題がよく起こります。しかし、AIを活用することで、この問題を大きく改善できます。経験の浅いオペレーターでも、AIがリアルタイムで適切なFAQや対応方法を提案してくれるためです。
その結果、ベテランと新人の応対品質の差が縮小し、誰が対応しても一定の品質を保てるようになります。企業全体としてサービスレベルが底上げされる効果は、非常に大きいと言えるでしょう。
新人の教育時間が削減できる
新人オペレーターの育成にはかなりの時間とコストがかかりますが、特に応対支援AIの導入により、この教育期間を短縮できます。リアルタイムでのAIのサポートにより、経験の浅い新人でも安心して顧客対応に臨めます。また、AIが個々のオペレーターの強み・弱みを可視化してくれるため、教育担当者の負担も軽減されます。
オペレーターの定着率が向上する
コールセンターの大きな悩みである離職率の低減にも、AI活用は効果を発揮します。
AIによる業務負荷の軽減は、オペレーターのストレス軽減に直結します。後処理作業の自動化やリアルタイムでの応対サポートによって精神的な余裕が生まれ、「業務に追われている」という感覚が和らぎます。また、AIによる分析で改善ポイントがわかりやすく見えることは、モチベーション維持に繋がります。
ストレスの軽減とモチベーションの維持の2つは、オペレーターの定着率向上に繋がります。採用と教育にかかるコストを考えれば、これは企業にとって非常に大きなメリットと言えるでしょう。
7.AI導入と人材育成、両輪のアプローチが重要
コールセンターでのAI活用は、人手不足と業務の複雑化という課題への有効な解決策です。しかし、AI活用の成否を分けるのは導入した技術そのものではなく、それを使いこなして人間にしかできない対応を見極めるオペレーターのスキルです。
自社の課題に合わせたAIの導入と、それを使いこなす人材育成の両輪で取り組むことで、顧客満足度の高いコールセンターを実現することができます。
セゾンパーソナルプラスでは、AI導入後のオペレーター研修やSV向けマネジメント研修など、コールセンター特有の課題に応じたオーダーメイドの研修プログラムをご用意しています。AI時代にはオペレーター・管理者ともに新しいスキルや役割が求められます。2万件以上の導入実績を持つセゾンパーソナルプラスの研修を、ぜひその習得にお役立てください。
セゾンパーソナルプラスのコールセンター研修
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